ファイル共有からコンテンツ管理へコンプライアンス時代のマストアイテム!エンタープライズコンテンツ管理(1/2 ページ)

企業内のすべての情報をしっかりと管理し、各種のリスクや法令に対応したい。そして、企業資産である情報を活用できる体制を作りたい・・・先進的な企業が抱えるこのような悩みを解決するのが、「エンタープライズコンテンツ管理」(ECM)だ。コンプライアンスが必須条項となった現在における、情報の管理と活用を実践する方法を探る。

» 2007年02月26日 00時00分 公開
[ITmedia]

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 ファイルサーバによる情報の共有は、ネットワークの進歩がもたらした恩恵だ。これにより、企業の資産はただ保管されるだけでなく、さまざまな二次利用、三次利用が可能になり、生産性も向上した。ところが、情報の増大スピードに対し、情報の整理が追いつかなくなってきている。とはいえ、SOX 法などが登場してきた現在、情報を整理し、管理しておかなければ、企業の社会的な責任は果たせない。

 ここでは、ファイル共有からコンテンツ管理へと進化する企業の情報環境について考えながら、新しい仕事環境を提供することを目的に開発されたSharePoint Server 2007(以下、SharePoint)の特徴を見てみよう。

セキュリティとコンプライアンス

 これまで、企業のドキュメント管理は、ドキュメント自体を安全な場所に格納することが優先されてきた。機密度の高い文書は、セキュリティレベルの高いところに構造化された状態で、そうでないものは個人PC の中や社員が共有できるファイルサーバの中に非構造の状態で置かれていたという状況だ。それぞれのドキュメントは、フォルダ名とその階層で仕分けをする程度で、基本的には単体で置かれている場合が多かった。

 企業システムの基盤内にネットワークが作られることが一般的となり、情報の共有、あるいはチームコラボレーションは広く普及した。その象徴と言えるのが、ファイルサーバだ。

 現在、部署内にファイルサーバを置き、共有情報をストックし、社員相互の情報共有を促進したり、次のビジネスのステップに利用したりすることは、当たり前になった。しかし、共有の利便性だけではシステム上の問題がある。それは、各種のセキュリティに対する問題、SOX法をはじめとする各種法令に対するコンプライアンスの問題だ。

共有からECMへ

 企業は、さまざまなリスク回避のために、ある程度、利便性を犠牲にすることを覚悟しながらも、管理体制の強化へと方針を転換した。ルールを策定し、ポリシーを施し、文書管理を徹底していこうという方向だ。しかし、その方向を進めるほど、本来的な業務の中に、リスク回避のための工程が入り込み、現場で作業をする従業員の時間や労力、やる気を奪うことになる。

 そこで登場したのが、エンタープライズレベルでのコンテンツ管理の考え方だ。その考え方では、ユーザーの利便性、企業の生産性はできる限り犠牲にせず、セキュリティをはじめとする諸々のリスクやコンプライアンスに対応できるシステム作りが提案されている。コンプライアンスを考えるときに、必要となるのが、内部統制の仕組みの整備だ。これをいかに自社にあった形にしていくかが、今日の課題となっている。

 企業には、さまざまな仕事環境とツールがある。作成されるドキュメントがある。さらに、それらを管理するシステムがある。これらを洗い出し、結びつけて統合的に管理し、現状の仕事の体制をできる限り変更しないというのが、SharePoint を導入するメリットである。

 ご存じの通り、前バージョンのSharePoint は、部署の壁を越えたコラボレーションに便利なツールとして登場した。ドキュメントのバージョン管理を行ったり、アクセス権を設定したり、メンバーのスケジュール確認を行ったりなど、単なる情報共有にとどまらず、チームコラボレーションに必要な各種機能を取り揃えていた。

 それをさらに発展させ、エンタープライズ コンテンツ管理(ECM)の領域にまで進化させたのが、ここで登場する新しいSharePointである。

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