McData買収で「脱SANスイッチベンダー」を目指すBrocade

ブロケード コミュニケーションズ システムズが「Brocade Conference 2007 Tokyo」を開催。米Brocade CEOのマイケル・クレイコー氏がMcData統合後の戦略を語った。

» 2007年03月06日 19時11分 公開
[ITmedia]

 ブロケード コミュニケーションズ システムズは3月6日、年次カンファレンス「Brocade Conference 2007 Tokyo」を開催した。

 このイベントに合わせて来日した米BrocadeのCEO、マイケル・クレイコー氏はMcData Systemsの買収を踏まえ、「単なるストレージベンダー、SANスイッチベンダーから、より広範なソリューションプロバイダーへと変革し、変動するIT環境に対応するソリューションを提供していく」と述べた。

 同社がMcDataの買収を完了したのは1月末。これにともない、既存の「SilkWorm」「Tapestry」といった製品をBrocadeブランドに統一した(関連記事)

 今後は、Brocade、McData両方のSANファブリックに接続できる「Brocade 5000」やブレード型SANスイッチの接続を可能にする「Brocade Access Gateway」を皮切りに、互いの相互接続性の確保を推進していく。一方で、ラインアップのうちSANルータなど重複する部分の統合も進める計画だ。特にBrocade製品にこだわるというわけではなく、管理ソフトウェアでは、旧McDATAの「EFC Manager」への統合を進めていくという。

 また、ハイエンドのSANダイレクタについては、1年以内に8Gbps FC(ファイバチャネル)に対応した新プラットフォームを投入する予定という。

 クレイコー氏は基調講演の中で、デジタルデータ、特に画像や電子メールといった非構造型データの量が急増していることに触れ、「これらをどのように管理し、保護していくかが課題だ」と指摘した。その解としてBrocadeでは、分散したSANネットワークやサーバ群を統合する「FAN」(File Area Network)のエリアにフォーカスしていく方針という(関連記事)

Brocade Communications SystemsのCEO、マイケル・クレイコー氏

 同社はこの分野に向けて、ファイルデータの統合を実現する「Brocade StorageX」やWAN高速化を可能にする「Brocade WAFS」といった製品を提供している。「ちょうど10年前にSANの市場を開拓したのと同じように、FANをはじめとする新しい分野に進出していく」(クレイコー氏)

 これは、同社が提唱するデータセンターインフラ/アーキテクチャの再構築にもつながる。

 Brocadeでは、より大規模な環境に提供できるスケーラビリティを備えた製品の提供のほか、サーバ仮想化やアプリケーション管理といった要素も含めたFANの拡張、「Brocade MyView」などのツールを通じたコンプライアンス支援といった要素をカバーし、「一連の技術を組み合わせ、ファイルやデータ管理の簡素化を支援する」(米Brocadeのソリューショニア、AJ・カサメント氏)という。同時に、データセンターアーキテクチャの再構築、運用を支援するプロフェッショナルサービスにも力を入れていくとクレイコー氏は述べた。

 クレイコー氏によると、Brocade社内のテストラボには、相互接続性検証のため、パートナーの機器が数多く稼働している。5年前は、テストや運用作業のために30種類程度のプログラムやスクリプトを使い分けていたのが、今では1200種類にもふくらんでいるということだ。データが爆発的に増加し、インフラが複雑化する状況はここにも現れているが、「Brocadeではコストの削減、複雑さの削減、そしてコンプライアンスという3つのエリアにフォーカスし、顧客を支援していく」と同氏は述べている。

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