文書の公開に関しても、さまざまな工夫がこらされている。
例えば、チームコラボレーションを行っている際に、ある企画書の内容について、どんどん改訂が加えられていくようなことがある。その際に、コメントや注釈を入れていくのはごく普通の作業ではあるが、最終段階の企画書では、そうした情報は不要になる。また、コメント情報などに記された内容は、時には、個人情報漏洩につながる危険性も秘めている。
こうしたケースに備え、最終承認時にはコメント情報を入れないようにすることもできる。これは、Wordの「ドキュメント検査機能」で対処できる。
また、情報漏洩の観点からすれば、印刷などに関する制限を施したいというケースもよくある。これに対しては、ポリシーを設定して、印刷する際にバーコードの入力を求めるような形にすることも可能だ。
バーコードの設定は、SharePoint側に用意されている「バーコードGenerator」で行える。つまり、印刷に関する情報をサーバ側で管理できるのだ。バーコードが付けられた文書は、さまざまな局面で文書がどのように扱われたのかを随時、追跡することが可能になる。
もちろん、SharePointの格納場所に入れた時点で、格納場所に施されたポリシーによって文書自体が権限がある人には見え、権限のない人には見えず、あるいは見る権限はあっても改変する権限のない人には、書き換えできないように設定しておくこともできる。例えば、見る権限はあっても改変する権限のない人の場合、その文書を開いた際に自動的にOfficeアプリケーションの編集関連機能が無効な状態になるようになっている。同じファイルであっても、アクセスする人の権限によって、使える機能が変わるということだ。
このように、ECMの目指すところが十分に整えられたSharePointを中核に置いたサーバシステムを用意することで、すべてのドキュメントが効率的に管理される。
これにより、さらなる利便性がユーザーにもたらされることになる。その代表的なものが、検索に関する柔軟性の向上だ。ユーザーは、格納場所やその形態を意識することなく、必要な情報を効率的に取得することが可能になる。
いまでさえ、膨大な情報を扱わなくてはならず、その上、今後、その量がますます増大していくことは明らかともいえる状況にある社内のインフォメーションワーカーにとって、検索性の向上は、大いなる朗報に違いない。
このコンテンツはアイティセレクト2006年12月号増刊に掲載された記事を再編集したものです。
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