需要急増で課題が噴出するデータセンター【前編】(1/2 ページ)

データセンターが活況を呈している。企業のIT化が一段と進み、情報システムやネットワークの効率的な管理運営が求められる中、データセンターの需要はますます増加するばかり。その背景にはどんな動きがあるのか。データセンターの最新事情を追った。

» 2007年03月13日 07時00分 公開
[松岡功,アイティセレクト編集部]

 東京都内では供給が追いつかない状況になりつつあるという。1999年から2000年にかけて一大ブームのもと華々しく登場したデータセンターが、企業にとってシステムを自ら「所有」するのではなく「利用」する手段として今やすっかり定着しつつある。

東京都内では供給不足が深刻に

 「2000年の幕開けとともに、“データセンター”という言葉が情報サービス産業の構造変化を紐解く一つのキーワードになってきた。巨大な“ハイテク倉庫”ともいえるこの施設は今、高度経済成長期の高層ビルさながらの建設ラッシュを迎えている」――00年1月、筆者はこう書き出した記事を新聞に寄稿した。それから7年――、今やデータセンターは企業が情報システムやネットワークを効率的に管理運営するうえで必須の施設となりつつある。

 データセンターは、顧客企業のサーバを預かり、インターネットへの接続回線や保守・運用サービスなどを提供する施設である。インターネットの利用が主体なので、「インターネット・データセンター(IDC)」とも呼ばれる。そのサービス形態には、顧客企業の保有するサーバをデータセンターに設置して運用管理を行う「ハウジングサービス」、データセンター事業者が用意したサーバを顧客企業に貸し出す「ホスティングサービス」、システムインテグレーションから引き継いで運用・管理を委託する「ITサービス」の三つがある。

 データセンターを利用する企業はもともとネットビジネスを展開する新興企業が多かったが、最近では一般企業の利用が急増している。その背景には、自社で高額な大容量回線を維持したり、システムやネットワーク管理の専門家を雇うよりも、データセンターにサーバを設置したほうが安価で高品質なサービスを受けることができ、自社の中核業務に専念できることがある。

 とくに動きの速いネットビジネスの世界では、中核業務以外はアウトソーシングして組織を身軽にすることが企業競争力につながるため、インターネットの利用拡大に伴ってデータセンターの需要はますます増加している。また最近では、不正侵入対策や災害対策といったセキュリティ面から、データセンターが重宝されるケースも多く見受けられる。

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