追加コストはホントに必要?――Oracle DBだけでILMオラクルデータベースの新潮流(2/2 ページ)

» 2007年03月16日 08時00分 公開
[敦賀松太郎,ITmedia]
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良いことづくめ? Oracle Partitioning Option

 まずは、大容量のデータを複数に分割・管理できる「Oracle Partitioning Option」を利用しているかどうか確認してほしい。Oracle Partitioning Optionは、大規模なデータベースの表や索引を維持しながら、管理しやすい小さなパーティションに分割できる機能。ビジネスインテリジェンス(BI)やデータ・ウェアハウス(DWH)などのソリューションでよく活用されているが、何もBIやDWHだけのものではなく、あらゆるアプリケーションで利用することが可能だ。作成したパーティションは、アプリケーションから特に意識する必要はなく、従来と同様のSQL文を発行できる。

 このOracle Partitioning Optionでは、パーティションごとに異なるストレージに配置することが可能だ。つまり、1つの表の中でも、重要度が高い情報は信頼性の高いストレージに保管し、重要性が低い情報はコストパフォーマンスに優れたストレージに保管するという分け方ができる。つまり、ILMを実現するソフトウェアを別途導入することなく、ILMが実現できるのだ。

 Oracle Partitioning Optionには、ILMを実現できること以外にも、さまざまなメリットがある。まず挙げられるのが、性能向上というメリットだ。パーティションに分割することでデータベースアクセスのI/Oが分散され、結果的に性能が向上するという効果があるのだ。性能向上は、問い合わせ対象のデータが格納されたパーティションのみをスキャンする「パーティションプルーニング機能」によって、同じストレージ上に複数のパーティションを配置した場合でも有効だ。

 管理性も大きく向上する。データベースはパーティション単位で管理できるので、表のメンテナンスを行う際にも、表全体をオフにする必要はない。複数のストレージにパーティションを配置しておけば、たとえ表の一部が破損しても、その他のパーティションは通常通りにアクセスできるなど、可用性の向上も期待できる。

情報の暗号化もASOだけでOK

 ILMでもそうだが、特にコンプライアンス対応という面で重要なのが、情報の暗号化である。世の中には、さまざまなアプローチの情報暗号化ソリューションが用意されており、企業の関心も導入意欲も高い。

 そうした情報暗号化ソリューションの中には、データベースの情報保護の脆弱性を指摘して、不安を煽っている製品がある。実際、データベースの多くでは、ネットワーク上でデータをやり取りするパケットは暗号化されていない状態だ。つまり、通信経路上のパケットが盗聴され、情報が漏えいする恐れがある。また、データベースに格納されている情報も、通常は暗号化されているわけではない。そのため、データベース管理者の特権を使えば、情報を盗み出すこともできてしまう。だから、情報暗号化ソリューションは「だから、この製品を導入しなさい」と訴えかけるわけだ。

 だが、Oracle Databaseを利用しているシステムであれば、特別な情報暗号化ソリューションを導入するなどのコストをかける必要はない。Oracle Databaseのセキュリティオプション機能「Oracle Advanced Security」を利用すれば、アプリケーションとデータベースの間のデータ通信を暗号化することができる。また、データベース表の列単位でデータを暗号化できる「Transparent Data Encryption」という機能により、格納されている情報が盗み出されても解読されることはない。

 日本オラクルによると、このようにOracle Databaseが備えている機能を知らずに、利用されていないケースも非常に多いという。これは、とてももったいない話である。Oracle Databaseユーザーならば、コストをかけずにILMや情報暗号化を実現できることを知るだけでも、無駄なコストを削減することができるだろう。

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