【第1回】プレゼンスって、必要?IP電話の誤解を解く(1/3 ページ)

今やIP電話を代表するプロトコルとなったSIP。このSIPを活用したプレゼンス(在席管理)機能が、どうやらビジネスシーンで十分に生かされていないようだ。

» 2007年03月27日 08時00分 公開
[寺下義文,ITmedia]

寺下義文(日立コミュニケーションテクノロジー)




 今や国内において、IP電話のプロトコルの主流=SIP(Session Initiation Protocol)だと言い切ったとしても誰も否定はしないだろう。だが、日本はIP電話に関しては後進国であり、世界的にはむしろH.323の方が主流である(今は世界的にもSIPに移行しつつあるが)。

 ではなぜ、このように日本国内でこれほどまでSIPが浸透したのだろう? それは多くの識者たちが以下の2つを挙げ、SIPの優位性を強く訴えたからではないだろうか。

  • 3GPP(Third Generation Partnership Project):第3世代移動体通信システムの標準規格
  • SIMPLE(Session initiation protocol for Instant Messaging and Presence Leveraging Extensions):プレゼンスを実現するためのSIPの拡張プロトコル

 いわゆるプレゼンス(在席管理)やインスタントメッセージ(IM)といった機能は、この2つ目のSIMPLEの根幹をなす機能になる。しかし、これほどSIPが主流になった今も、このプレゼンス機能がビジネスシーンで十分に生かされていないと筆者は感じている。

 このため、本特集のテーマ「IP電話の誤解を解く」において、筆者はこのプレゼンスに焦点を当てて解説することにしたい。

コンシューマーユースでのプレゼンス

 まず、Windows Messenger 5.0を例にしよう。これは、おそらくSIPのプレゼンスを最初に実装したコミュニケーションアプリだろう。

 と、偉そうなことを書いてはいるが、実はこのアプリの使い方は当時筆者が交際していた彼女から教わったもので、これがSIPのプレゼンスで実現されていることを知ったのは、かなり後になってからのことだ。その当時、筆者は次のように利用していた。

 始めに、コミュニケーションを取りたいと思う相手をメンバーとして登録する。すると、図1の左画面のようにその相手を示す人形のアイコンができあがり、オフラインとして表示される。また、同様に相手側PCにも自分を登録してもらう必要がある。

図1図1 図1●Windows Messenger 5.0のプレゼンス画面

 通常、コミュニケーション相手がPCにログオンしていないとき、図1左のようにオフラインとして表示されているわけだが、相手もPCにログイン(PCを起動)すると、図1右のようにオンラインに変わる。そしてオンラインになると同時に、「おはよう」や「おかえり!」といった言葉から会話(チャット)を始めるのだ。

 このように、PCを介してではあるが相手の存在を実に身近に感じることができた。またそれと同時に、プレゼンスの必要性を実感したものだ。

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