Vistaへの移行を支援するWindows Vista Hardware Assessmentツール

企業は無料のハードウェア評価ツールを使って、現在利用しているコンピュータのうち、どれがWindows Vistaにアップグレード可能なのかを判断できる。

» 2007年03月29日 10時00分 公開
[Michael Cherry,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Windows Vista Hardware Assessment(VHA)は、コンピュータをWindows Vistaにアップグレードするための要件を把握できるよう、企業を支援する無料のツールだ。このツールは、企業のネットワーク上にあるコンピュータについて、エージェントをインストールすることなく、目録を作成できる。このツールはインストールも実行も簡単だが、一部のコンピュータへの接続では問題が生じる可能性があるため、結果は不完全で不正確なものになりかねない。

互換性のあるハードウェアとデバイスを検出する

 VHAは、Windows XP SP2、Windows 2000 Professional、Windows Server 2003(R2を含む)、Windows 2000 Serverなど、Windows Management Instrumentation(WMI)をサポートするバージョンのWindowsを実行しているコンピュータをネットワーク上から検出し、チェックするためのウィザードだ(WMIは、Windows OSに搭載されているシステム管理用のインタフェース)。

 VHAは、既にVistaを実行できる状態にあるコンピュータと、ハードウェアをアップグレードすればVistaを実行できるコンピュータとを検出し、その情報を以下の形式のカスタムレポートとして要約する。

  • 企業の技術的意思決定者向けのWord文書形式のレポート。結果はグラフと表を使って要約される。
  • ITシステムの実装者向けのExcelワークブック形式のレポート。詳細な目録と評価データを含むスプレッドシートが用いられる。
レポート Windows Vista Hardware Assessment(VHA)ツールは2種類のレポートを作成する。1つは、経営のための情報を要約したWord文書、もう1つは、ITシステム実装者のための情報を含む詳細なExcelスプレッドシートのセットだ。この例では、ツールは16台のコンピュータを検出し、そのうち3台については、ハードウェアデバイスとドライバに関する有用な情報を収集できているが、そのほかの13台については、ファイウォールと接続の問題から、データを収集できていない

 VHAは、MicrosoftがBusiness Desktop Deployment Solution Acceleratorというガイダンスの一部としてリリースしているツール群を補完するものとなる。同ツールは企業のActive Directoryを使って、コンピュータの位置を特定できるほか、Windowsネットワーキングプロトコルを使って、ワークグループ内のコンピュータを見つけることもできる。ファイアウォールがあったり、各コンピュータに管理者IDとパスワードが欠けていたりすると、評価対象となるコンピュータの数が減る場合もある。検出したコンピュータに関してVHAが提供する最も有用な情報は、デバイスドライバを入手可能なハードウェアデバイスのリストだ。このリストには、そうしたデバイスドライバがインストールメディアで提供されているのか、Windows Updateからダウンロードできるのか、あるいはハードウェアメーカーからダウンロードしなければならないのかも記される。

 非常に残念なのは、このツールでは、コンピュータで動作しているアプリケーションの完全かつ正確なリストが提供されない点だ。特に、互換性の問題がありそうなアプリケーションについて、リストが提供されないのは残念だ。その意味では、無料ではないが、Systems Management Server(SMS)のほうが、アップグレードのプランニングには優れたツールと言えるかもしれない。SMSはハードウェアとソフトウェアの両方について目録を作成できるほか、詳細なレポートを提供する。

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