Oracle GRIDの導入はベンダーロックインにつながるか?オラクルデータベースの新潮流(2/2 ページ)

» 2007年03月30日 08時00分 公開
[敦賀松太郎,ITmedia]
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標準技術の採用によりベンダーロックインを回避

 Oracle GRIDでは、Oracle Databaseを情報システムの統合データベース基盤として置き、それを利用する各種業務システムをOracle Fusion Middlewareによって構築。さらに、Oracle Fusion Middleware上で稼働するOracle Applicationsを提供するとともに、全体の運用管理をOracle Enterprise Managerで行おうというものだ。

 具体的なソリューションとしては、企業システムの認証基盤となるID管理から、BIやデータ ウェアハウス、WebサービスやSOA、さらにはERPやCRMなどの業務アプリケーションパッケージに至るまで、ありとあらゆる製品が用意されている。Oracle GRIDの中核となるデータベースは、Oracle Real Application Clustersを利用して可用性を向上させたり、仮想化機能を利用して複数のハードウェアにまたがるシステムを仮想的に統合し、情報システム全体のリソース利用率を効率化したりできる。

 こうした垂直統合型の情報システムは、時にメインフレームに匹敵する堅牢性をもたらす。メインフレームは、データ管理を行うデータベースやデータ処理内容を管理するジョブスケジューラなど、業務アプリケーションを稼働するのに必要なすべてのソフトウェアがハードウェアと一体で提供されている。これと同様に、オラクルがハードウェアやOSなど、プラットフォームの部分よりも上位レイヤーにあるすべてのソフトウェアを提供しているわけだ。

 これにより、ベスト オブ ブリード型の業務システムに比べると、特に障害発生時のリスクを小さくできる。企業の情報システム部門は、障害の原因を探し出すために、保守サポートを切り分ける手間がなくなる。その結果、運用管理コストを大きく削減できるわけだ。

 垂直統合型の情報システムは、確かに運用管理を効率化する。しかし一方で、すべてをオラクルだけに頼ってしまう“ベンダー ロックイン”という不安もある。こうした企業の不安を払拭するために、オラクルは標準技術を採用したソフトウェアの開発にこだわっている。例えば、アプリケーションが稼働する基盤となるOracle Application Serverは、オープンなJ2EEを採用している。これにより、何らかの理由でOracle Application Serverを使い続けることができなくなっても、他社製、あるいはオープンソースのJ2EEアプリケーションサーバを代替として利用できる。

 オラクルがハードウェアやOSに手を出さないのも、そのためだ。メインフレームのように一体化してしまうと、それを導入した企業には選択肢が残されない。しかし、プラットフォーム部分を完全に分離しておけば、その時点で最適なプラットフォームを自由に選択できる。こうしたベンダー ロックインしない選択肢を残しているのは、Oracle GRIDの大きな特徴となっている。

 Oracle GRIDによって垂直統合型の情報システムを構築し、シンプルな共通インフラを実現することは、多くの企業が抱える課題を解決する有力な最適解の一つだと言えるだろう。

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