単にステータスを設定するだけでは、ビジネスの現場で使えるプレゼンスにはならない。それを設定する人の「想い」をくみ取ると、IP電話はどう変わるのか。
寺下義文(日立コミュニケーションテクノロジー)
前回、単に状態を設定/確認するという実装方法では、プレゼンスは生かされないという趣旨の説明をした。しかし筆者は、プレゼンス自体が無意味な機能だとは考えてはいない。間違った実装をしなければ、プレゼンスも有意義な機能の1つとなるはずだ。
そこで、われわれ(旧日立インフォメーションテクノロジー)のみで検討するのではなく、スカイウェイブ、鳥取三洋電機、および日立電線のSIP(Session Initiation Protocol)関連商品を扱う全4社から技術者を集めたプロジェクトチームを作り、その実装について議論し、より有意義なプレゼンス機能の共同開発を行うことになった。
筆者らはまず手始めに、「取込中」という状態について検討を行った。
この状態を設定する人の想いとしては、「忙しいから簡単には電話してもらいたくない」というものではないか。ならば、通常の電話に対しては、呼び出しには応じないように実装するべきだろう。図1の発着信のシーケンスを見ていただきたい。
まず、着信側となる番号2002の電話機で、十字キーを使って「取込中」に状態を変える。すると、その時点でF01おいて「取込中」状態がサーバに通知される。この状況で、番号2001から2002に向けて発呼(F02)すると、2002は180のRingingではなく、4xxまたは5xx系の拒否の応答を返し、鳴動しない。
一方、呼を受理してもらえなかった2001側では、改めてその拒否理由を知るために、Expire値を0とするF08のSUBSCRIBEが発行される。このExpire=0は、RFC3265においてサブスクライブの中止要求とは別の意味として、単発の状態確認要求の意味を含むことも明記されている。
この手順を用いると、番号2001が番号2002の状態を知り、取込中になっていることで着信してもらえなかったのが分かるようになっている。
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