グーグル、アマゾンと同じ(!?) 蘇生を試みるライブドアの姿――CGMを中核に、法人事業の強化も忘れず(2/3 ページ)

» 2007年04月03日 07時35分 公開
[津田聡一朗,ITmedia]

国内でも稀有なビジネスモデルはグーグル、アマゾンと同じ!?

 メディア事業とネットワーク事業の2つに大別されるライブドアの中核事業。出澤氏はいずれの事業も順調に推移していることを強調した。今後も、メディア事業においてはサイトの統廃合を進め、またネットワーク事業ではコンシューマー向けサービスから撤退(法人事業に特化)するなどし、さらなる事業の選択と集中を図っていくという。7月末には本社を東京都港区の六本木ヒルズ内から同新宿区(歌舞伎町)に移転し、賃料削減によるコスト圧縮を図る。こうして、今期末(9月)には単月黒字化を達成する考えだ。広告収入もピーク時の70%を回復するなど、現在それに向けて順調に進んでいるという。

 中長期的には、CGMの広告市場で「メインプレーヤーになる」(出澤氏)ことを目指す。ユーザー参加型のWeb2.0時代に入り、「CGMを前提にした成果報酬タイプの市場」(ライブドア)が急速に拡大していることに目をつけた。「livedoorブログ」の閲覧者数、発信者数は国内ブログでナンバー1に位置するといい、出澤氏は並々ならぬ自信を見せる。ブログ以外のCGMサービスでも、RSSリーダー(ライブドアによると、会員数で国内ナンバー1)、ソーシャルブックマーク(同ナンバー2)、フォトシェアリング(同ナンバー2)と、十分優位性を保っているという。そうした実績が、目標を後押しする裏付けとなっている。

 また、「メディアとネットワークのシナジー」も、CGMで優勢を維持する強みだと、出澤氏は説明する。ライブドアのメディア事業部はサービスの開発、ネットワーク事業部はそのインフラの保守・メンテナンスとなる。出澤氏によると、この開発と運用の双方を併せ持つ会社は国内ではほとんどなく、「米国のグーグルやアマゾン(・ドットコム)と同じモデル」とか。それは、ユーザーにストレスなく(アクセス数の高い)ブログを閲覧できる環境の提供・維持の実現というシナジー効果をもたらしているという。これが、ナンバー1のユーザー数を獲得できた要因だそうだ。さらに、ネットワーク事業全体のスケールメリットを働かせれば、圧倒的な低コスト構造も可能になると説明した。

出澤剛氏

 このように、復活の道を切り開くための「標的」に据えたCGM領域。そこでの収益化のために、3つの施策を打つことを明らかにした。それは、次世代ブログのサービス開始、CGM機能のOEM販売、RSSリーダーの国際展開――である。

「焼肉」コミュニティで魅力ある広告メディアを築く

 4月末には、新しいサービスとなる次世代ブログ「PRAC(プラク)」(仮称)を立ち上げる。

 従来のブログは「マニアな個人によるページの集合体」と出澤氏。そこで、簡易なインタフェースを持つブログでライトユーザー層の利用拡大を狙うことにした。また、設計段階から広告メディア化を意識し、収益構造を併せ持つことを試みる。それが「PRAC」である。

 具体的には、書き込んだ記事内容が自動的にカテゴリごとに分類される機能を備える。例えば、従来、個々のブロガーごとに存在していた「焼肉」をテーマにしたブログが、次世代サービスでは「焼肉」という共通のテーマの下に「自動的につながる」ようになるという。こうして「焼肉」のコミュニティができれば、そのコンテンツ(焼肉)に連動した広告市場ができると考えた。「SNS的な要素を付加することで、コミュニティが自動的に生成されていく。これが、広告メディアとしての魅力をアップすると考えている」(出澤氏)。

 出澤氏によると、ブログは従来、個々の記事がばらばらに存在していて、ポータルなどのブログサービスの提供側がそうした「ユーザーのデータ」を預かっているだけだったとか。次世代ブログは、それらのばらばらのブログをつなげることによって、共通のテーマを持つコミュニティーを自動的に生成する。「ユーザーから預かったデータを分類・整理し、メディアとしての付加価値をつけるということ」(出澤氏)ができるようになるという。

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