独自進化を始めるモバイルマーケティングの世界モバイル売り上げ活用へのススメ(1/2 ページ)

今や携帯電話は1人1台が持つ時代だ。企業の業績向上を図る新たなツールとして注目される携帯電話のインターネットマーケティングの最新事情を探る。

» 2007年04月17日 07時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 携帯電話インターネットは、1999年にNTTドコモが開始した「iモード」によって本格的に立ち上がった。現在ではインターネットに接続できる端末が8400万台を突破し、個人密着型メディアとしての立場を築きつつある。

 2000年から携帯電話インターネットのコンテンツサービスを手がけるネットドリーマーズの向江俊和取締役は、「2006年後半から3.5世代という高速通信サービスが始まり、定額制ブロードバンドでPCインターネットの普及を一気に広げたADSLのようなインパクトが、携帯インターネットの世界へもうすぐやって来る」と話す。

事業開発などを担当する向江俊和取締役

 このような中、収益や顧客拡大を狙って多くの企業が携帯電話インターネットを活用したマーケティングに注目を始めている。だが、PCとは違って携帯電話インターネットには独特の要素が数多く存在している。

 その1つがキャリアや端末の違いによるコンテンツの表現力だ。例えばauの「Ezweb」は、「HDML」という独自の記述方式を採用する。端末では、画面サイズや解像度は機種によってさまざまだ。「正確には250種類以上の見せ方が必要になる」(向江氏)という。

 また技術革新のスピードもPC以上に速い。フラッシュやEコマースのように、PCの世界で何年もかけて普及した技術やサービスが、携帯電話インターネットではPCを上回る勢いで導入され、「おサイフケータイ」のように携帯電話ならではのサービスもある。

 ネットドリーマーズでは、変化の激しい携帯電話インターネットの世界で企業の目的に沿った最先端のモバイルマーケティングの展開を支援する「Let’sケータイ!」サービスを、2005年からASPで始めた。同社ではキャリア各社の公式サイトの開発や運営も行っており、コンテンツの制作や運営で蓄積したノウハウやサービス品質を企業向けに提供する。

 携帯サイトはユーザーが一目で見ただけで、サイトをじっくりと「見る/見ない」、クリックを「する/しない」を判断するため、サイト訪問者の注意を引くデザインやレイアウトが求められる。向江氏は、「PCと比べて表現力に限界のある携帯電話環境で、可能な限りの表現できるサイト制作機能を実装している」といい、制作担当者の表現力に応える自由度の高いテキスト文字や絵文字、画像などの編集機能を持つ。

Web制作/管理画面。3キャリアの仕様を1画面で確認でき、サイトの目的に合わせたテンプレートが豊富に用意されている

 編集画面では、1画面にNTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルの標準環境に合わせたサイトイメージを表示するため、効率的にサイト制作ができる。同社では各種端末の表示性能に関するデータベースを所有し、実機の検証も社内で行っている。ユーザーがアクセスした端末を識別して、自動的にその機種に最適化された表示を行う。また、最近は商戦ごとにキャリアから発売される新機種の数が増加傾向にあるが、同社では発売のタイミングで新機種に対応できる体制を取っている。

 顧客情報との連携もLet’sケータイ!の強みの1つ。PCの商品プロモーションサイトへの誘導や顧客情報の入手、アンケート展開、メール配信などの機能を、サイト構築後の「業務フロー機能」として実装する。サイト制作から顧客情報の管理までを、1つの業務フローとして利用できる。

既存情報との連携や自由度の高い顧客DB作成が行える。PC向けではおなじみの機能がモバイル向けにはまだ少ない

 「既存の顧客情報との連携や必要な属性を自由に設定してメール配信やアンケートの実施を行う、入手した情報を必要な内容に合わせてデータベースへ統合できるなど、データベースとマーケティング手法を自在に組み合わせられるのが特長」と向江氏。データベースへのアクセス権限や出力の可否など、個々の社員に応じたポリシーも設定できる。

 最近では、端末メーカーがアクセサリーや充電池の通信販売にLet’sケータイ!を利用するケースや10代の女性向け通信販売会社で1億円規模の売り上げを実現したケースがあるという。こうしたサイトでは1ケ月に数千規模のトランザクションが発生しているが、そのような負荷にも耐える安定したサービスを企業に提供している。

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