強力な管理機能を備えたProject Server 2007(1/2 ページ)

MicrosoftのEPMソリューションの中核を担うProject Server 2007では、プロジェクトの定義や管理に関する新機能が追加されたほか、プログラミングインタフェースが提供され、カスタムアプリケーションによる連携ソリューションの開発も可能になった。

» 2007年04月17日 17時11分 公開
[Michael Cherry,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 MicrosoftのEPMソリューションの中核を担うのは、Project Server 2003の後継バージョンであるProject Server 2007だ。Project Serverは、特定のプロジェクトのステークホルダーである経営幹部とプロジェクトマネジャーが使用するプロジェクトのスケジュール、状態、リソースに関する情報を保存する。また、Project Professionalクライアントや、ブラウザインタフェースのProject Web Access、およびOfficeアプリケーションによるプロジェクトの更新と分析をサポートする。Project Server 2007では、従来のバージョンでは十分にサポートされていなかったプロジェクトライフサイクルの一部のフェーズ、例えばプロジェクトの作成などに対応したツールが追加されており、実施中のプロジェクトを管理するための新機能も提供されている。

プロジェクトの作成

 いくつかの新機能と既存機能の改良点により、プロジェクトスポンサーはプロジェクトをより容易に定義できるだろう。

プログラム 関連するプロジェクト群をプログラムというグループにまとめることができ、ユーザーは、個々のサブプロジェクトのレベルにとどまらず、プログラム全体について進捗を分析したり、レポートを作成したりできる。この機能が特に便利なのは、幾つかの関連するプロジェクトが、それぞれプロジェクトマネジャーが置かれるほど大規模であり、これらのプロジェクトが全体として成功するには、それぞれのプロジェクトマイルストーンを達成しなければならない場合だ。

成果物 プログラムにおけるプロジェクト間の依存関係のリストと、各成果物の確定した完成期日のリストを作成し、Windows SharePoint Services(WSS)ベースのProject Serverサイトで発行することで、各プロジェクトマネジャーがこれらのリストを見て担当プロジェクトおよびタスクからのリンクを作成できるようにすることができる。

作業計画 タスクの数が限られた小規模なプロジェクトを行うために、Project Web Accessを使ってミニプロジェクトを作成したり、プロジェクトの完了後に、例えば、完了したプロジェクト(サーバの導入など)の保守モードへの移行などのために、継続的に行わなければならないタスクに関する情報を収集したりできる。作業計画と本格的なプロジェクトの大きな違いは、作業計画ではタスクの依存関係を定義できないことだが、作業計画は本格的なプロジェクトに昇格させることができる。

プロジェクトの計画

 社内で提案、承認されたプロジェクトをProject Serverで調整することで、企業はより的確な計画をより容易に作成できる。ユーザーは、WSSベースのProject Serverポータルから、プロジェクトセンタ(ポートフォリオ内のプロジェクトを表示するダッシュボード)を用いて複数のプロジェクトに関する情報を見ることができる。

 プロジェクトセンタの重要な機能として、リソース計画がある。この機能は、進行中のプロジェクトのほか、まだ提案段階や計画段階のプロジェクトがある場合に、企業のリソースキャパシティを見積もる手段を提供するものだ。リソース計画機能では、リソースをプロジェクトにリンクできるが、リソース管理者は、承認待ちのプロジェクトでリソースをどのように利用するかを検討することもできる。以下の2つの新機能は、企業がリソース計画を通じて、人員やそのほかのプロジェクトリソースをより的確に管理するのに役立つ。

割り当て所有者 割り当て所有者は、実際の作業に携わる人、または割り当てと照らし合わせて作業の進捗状況を報告する人を指す。割り当て所有者を管理する機能により、プロジェクトマネジャーはテストラボやビルドラボなど、重要な物的リソースの利用状況を追跡できる。また、プロジェクトの過程で、割り当て所有者は簡単に変更できる。

チームリソース プロジェクトマネジャーは、個々のリソースではなくチーム全体に作業を割り当てることができ、チームのどのメンバーでも、割り当てに応じてタスクを行い、作業時間を報告できる。

プロジェクトの管理

 Project Server 2007では、プロジェクト管理に役立つ以下の2つの改良が加えられている。

キューブ作成サービス Project Server 2007のこの新サービスにより、プロジェクトマネジャーやビジネスアナリストは、グラフィカルユーザーインタフェースとSQL ServerのReporting Servicesを利用して、タスク、リソース、プロジェクト、作業割り当てのデータを分析するために詳細な多次元レポートを作成できる。このレポートは、プロジェクトの問題点やリスクを発見するのに役立つ。一般的なビジネスインテリジェンス(BI)アプリケーションでキューブを使用する場合、ビジネスアナリストは、例えば、時間、各種商品、販売地域というディメンションを持つキューブを作成する。キューブを操作することで、マネジャーは特定の時期や期間、特定の商品や商品群、特定の販売地域の値を調べることができる。同様に、EPMにおけるキューブでは、ビジネスアナリストは、例えば、期間、企業のすべてのプロジェクト、予算情報(個別企業に固有のカスタム予算フィールドを含む場合もある)などのディメンションを持つ、プロジェクトデータの集合体を作成できる。マネジャーは企業内のすべてのプロジェクトについて、予算に対する実績状況を調べることができる。

 プロジェクトキューブはReporting Servicesで管理できる。Reporting Servicesでは、データをレポート形式に変換してProject Serverのレポートデータベースに保存し、必要に応じて随時利用することが可能だ。

タイムシート この機能では、ユーザーは、さまざまなプロジェクトやそのほかのタスクの作業時間データをブラウザから入力でき、プロジェクトマネジャーは、利用可能なリソースと、すでに作業スケジュールが設定されているリソースを把握できる。Project Server 2007では、定義済みの会計コードとユーザー定義の会計コードの両方のサポートがこの機能に追加された。こうした会計コードは、Project Serverと社内の財務管理アプリケーションでそれぞれ追跡される作業時間データをリンクし、チームメンバーが複数のアプリケーションに作業時間データを入力する手間を省くために利用できる。また、プロジェクトマネジャーは、プロジェクト状態の更新とは無関係に、タイムシートを承認または拒否できるようになった。

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