団塊ジュニア社長とタッグを組む――ITアレルギーからの脱却中小企業のIT導入(1/2 ページ)

中小企業の経営者には、過去の苦い経験から、ITに対するアレルギーを持つ人が多いという。しかしIT経営は待ったなし。経営とITの間に横たわる「氷を溶かす旅」の水先案内人がITコーディネータだ。

» 2007年04月26日 10時58分 公開
[大西高弘,アイティセレクト編集部]

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ため息まじりの本音

 ITコーディネータ(以下、ITC)の取材を続けて、いろいろな話を聞いた。一通りの話が終わった後、ため息まじりに出てきた言葉が、記者に深い印象を与えることも多かった。

 「いきなり経営とITの全体最適といわれても、導入する側としては戸惑うだけなんです。大型のコンピュータをどーんと入れて、大切な情報はすべてそこに放り込んでおき、あとで必要な情報を取り出して行きましょう、といわれて、そういうものかなと周囲の同業者を見ていると、みんな導入を始めた。やっと追いついたと思ったら、今度は分散させましょうでしょ。それで何が入っているのか分からないサーバーを集約させましょうと。データベースも一元化しないとだめです、と。ITソリューションありきで説明しても社内では誰も聞こうともしてくれないですよ」

 ある中小企業のIT部門担当者はこのように語った。

 ITと聞いただけで拒絶反応を起こす中小企業の経営者はまだ多いという。あるITコーディネータは次のような話をしてくれた。

 「自社のITそのものが、得意先からの押し付けであることも多かったんです。メインフレーム、オフコンなどが最新トレンドだった時代です。1000万円でこのシステムを入れてくれないと、取り引きができなくなります、便利なシステムなのでぜひ、というような話をされてしぶしぶ導入する。もちろん、上手に活用して業績アップにつなげている会社もありますが、ほとんど使わないまま、事務所の隅でホコリをかぶっているというケースも多い。こういう会社の経営者にとっては、ITというと押し付けられるマシン、というイメージが強いわけです」

二代目社長と協力しあう

 こうした「ITアレルギー」を持つ経営者にも本来のIT活用の意義を説いていく必要性があると語るのはITコーディネータ協会会長の関隆明氏だ。

 「ITCは全国で自主組織を作って活動しています。その数は百数十にもなる。こうした地道な活動以外に当協会では『IT経営キャラバン隊』『IT経営応援隊』などの活動でも中心的な役割を担っています。『IT経営応援隊』は経営者にITと自分たちの経営との接点に気づいてもらうことを目的にしています。『ITを活用して経営効率を高めることができる。うちでもやれる』と気づいてもらう運動です。そして『IT経営キャラバン隊』は気づきから発展して、実践方法について知ってもらうという取り組みです」

ITコーディネータ協会会長 関隆明氏

 また、中小企業のIT化の現状について詳しいライターの奥山睦氏は次のように語る。

 「中小企業の二代目、三代目の経営者の人たちは、ITに対してそれほどアレルギーがない人が多い。むしろ積極的に取り入れようとしています。個人や小さな組織で活動しているITCにとっては、こういう若い世代の経営者にアピールすることがポイントになるのではないでしょうか」

 中小企業の二代目、三代目社長といえば、若い人では団塊ジュニアの世代も入る。確かにこうした世代の人ならばITに対するアレルギーはないだろう。経営者としては駆け出しのこうした人たちには、多くの経営者と接してきたITCは頼もしい存在となるはずだ。

奥山 睦氏
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