Wikiやブログ機能も追加されたMSの無償コラボレーションツールの実力(4/4 ページ)

» 2007年04月29日 10時00分 公開
[Chris Alliegro,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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管理機能の向上

 WSS 3.0の管理ツールにも幾つか機能強化が施され、従来のバージョンではフラストレーションを感じることが多かった、サイト、コンテンツ、ユーザー、インフラストラクチャの構成と管理が容易になった。

ツール構成の改善 「サーバの全体管理」サイトの構成が見直され、WSS 3.0のインフラストラクチャを管理しやすくなった。サーバの全体管理には、「サーバ構成の管理」ページと「アプリケーション構成の管理」ページへのリンクがある。前者は、サーバトポロジの構成(例えば、どのWSSサービスをどの物理サーバ上で実行するかの定義)やバックアップとリストアなど、全般的な管理機能を提供し、後者は、各サイトの作成や管理(例えば、ユーザーのアクセス権の割当や、サイト、リスト、ライブラリの追加と削除)を行うためのページである。以前は、ユーティリティが複数の大概ネストされたページに分散して配置され、見つけにくい構成になっていた。

ファーム管理機能の強化 WSS 3.0では、複数のサーバ(またはファーム)にまたがる大規模な展開にもよりスムーズに対応できるようになった。以前のバージョンでは各サーバを個別に設定する必要があったが、3.0ではアプリケーションやサイトを一元的に作成・設定し、複数のサーバに変更を伝達できる。例えば、WSS 3.0の新しいスケジュール機能を使用して、新しいサイトテンプレートをサーバグループに指定した時刻にデプロイすることが可能だ。

バックアップとリストア Windowsボリューム シャドウ コピー サービス(VSS)のサポートが追加された。これにより、サードパーティーのバックアップアプリケーションとの連携が容易になるだろう。ただし、WSS 3.0のバックアップユーティリティはごく基本的なものである。WSS 3.0ではごみ箱機能を追加し、ユーザーが誤ってドキュメントを削除した場合など、ある程度の問題には対応しているが、スケジューラや個々のアイテムを復元する機能などはいまだに提供されていない。

展開前に慎重な評価が必要な機能も

 WSS 3.0で追加された機能強化のメリットや、一般のWSS 2.0サイトから比較的簡単にアップグレードできることを考えると、多くのユーザーにとってWSS 3.0へのアップグレードは当然の選択肢となるだろう。ただし、一部の新機能については、広範囲な導入を行う前に慎重に評価する必要がある。また、他の機能変更も、エンドユーザーに与える影響について十分な考慮が必要だ。

ブログとWikiは時間の無駄? 企業でのブログやWiki利用の有効性は、基本的に証明されていない。ブログやWikiはインターネットユーザーの間では人気のあるツールだが、膨大な時間をかけてコンテンツが作成されているわりに、内容的には価値がほとんどあるいはまったくないことも多い。企業内で無計画にこれらのツールを使用した場合、同様の無駄を招くことになりかねない。また、ほとんどの企業では既に社内のコミュニケーションやドキュメント処理の手順が確立されているため、これらと比較して、ブログやWikiによって得られるメリットはほとんどないことも考えられる。あらゆる新しいユーザー指向テクノロジに当てはまることだが、導入に際しては、適切な使用法を定めたガイドラインを用意する必要があるだろう。

アクセス権のない機能の表示制御が混乱を招く? 一部のユーザーにとっては、利用できないメニューオプションを非表示にすることでWSS 3.0の操作性を向上できる場合もあるが、宣伝されている、しかし自分にはアクセス権がない機能を探して時間を無駄にするユーザーも出てくる可能性がある。ほかのMicrosoft製品では、利用できないオプションは(非表示ではなく)淡色表示するという異なるアプローチがとられている。これを知っているユーザーの場合、淡色表示されたほうが、自分が利用できる機能がどれかをすぐに判断でき、より効率よく操作できるだろう。

WSS 3.0の要件

 WSS 3.0は2006年11月にリリースされている。WSS 3.0を利用するには、Windows Server 2003と.NET Framework 3.0(これには、Windows Workflow FoundationおよびASP.NET 2.0が含まれている)のほか、SQL Server 2000 SP4以上またはSQL Server 2005 SP1以上(MicrosoftはSQL Server 2005を推奨)が必要だ。

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