SCMブームの衰退は歓迎、SOAベースの「新世代SCM」を売り込むi2テクノロジーズInterview(1/2 ページ)

SCMのリーダーであるi2だが、ドットコムバブル消失とともにブームが去り、かつての勢いがない。しかし、佐藤社長は、「SCMは企業活動そのもの。むしろ、ブームが去って良かった」と話す。

» 2007年05月02日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 インターネットの申し子としてドットコム企業が隆盛を極めた前世紀末、SCM(Supply Chain Management)のリーディングベンダーであるi2テクノロジーズもその波に乗り、春を謳歌した。しかし、まもなくドットコムバブルが消失すると、追い掛けるようにSCMのブームも去ってしまった。

 しかし、SCMは、資材の調達から生産、在庫、物流、販売まで、モノの流れるプロセスの最適化を図り、無駄を省く経営管理手法だ。リードタイムの短縮、在庫の圧縮、コストの削減など、経営の効率化が図れるだけでなく、納期の遵守などを通じて顧客満足度を高めることができる。「SCMは企業活動そのもの。むしろ、ブームが去って良かった」と話すi2テクノロジーズ・ジャパンの佐藤年成社長に話を聞いた。

昨年7月、i2テクノロジーズ・ジャパンの社長に就任した佐藤氏。20年以上も東芝に在籍し、ERP、SCM、およびCRMのプロジェクトを多数手掛ける

ITmedia いわゆるドットコムバブルの消失とともにSCM(Supply Chain Management)ベンダーも元気がなくなり、ブームが去ってしまった印象があります。

佐藤 2000年前後にSCMを取り巻く騒動は確かに終わっています。しかし、SCMは企業活動そのものです。その意味で言えば、SCMは不滅です。

 ブームのときには、本当に必要性がなくても、「他社が入れているからウチも」という横並びの発想による導入がしばしば見られました。顧客企業は、ツールを導入すれば、それだけでSCMがうまく行く、と考えていましたし、売り方もそうでした。だから、うまく行かない顧客もありました。それはそうです。そもそも必要だったのか怪しいわけですから。

 むしろ、ブームが去って良かったです。企業活動を改善しようとSCMに取り組む企業にとっては、今はいい時期ではないでしょうか。

ニュージェネレーションSCM

ITmedia 佐藤さんはi2テクノロジーの日本における最初のユーザーである東芝に在籍し、グローバルSCMシステムの構築などを統括したと聞いています。ちなみに、サプライチェーンを最適化するツールがi2テクノロジーやマニュジスティックスから登場する以前というのは、どのような考え方でサプライチェーンを管理しようとしていたのでしょうか。

佐藤 当時のお手本は、トヨタ自動車の「かんばん方式」に代表されるようなジャストインタイム(JIT)の部品在庫管理でした。製造業では、ほとんどそう考えられていました。

 しかし、かんばん方式は、トヨタが長い年月をかけて築いたものです。その概念だけを自社に導入してもうまく行くはずがありません。

 またJITには、サプライチェーン全体を見る考え方や機能がありませんでした。仕掛在庫を減らすのにはとても有効でしたが、需要を予測の機能が弱く、顧客からサプライヤーまで全体を鳥瞰するツールがなかったのです。

ITmedia その後、i2テクノロジーやマニュジスティックスから優れたツールが登場しましたが、多くの企業では、やはりうまく行きませんでした。

佐藤 ツールで何とかなるものではありません。SCMのブームが去ったとき、当たり前のことなのですが、「組織設計」「業務プロセス設計」、そして「ITの導入」という3点セットがそろわないと、うまく行かないということを再認識しました。こうした反省を踏まえ、i2では、「ニュージェネレーションSCM」を提唱しています。

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