そのデータは価値を生み出しているか? データ統合の課題に立ち向かうInformaticaInformatica World 2007 Report(1/2 ページ)

米Informaticaの年次ユーザーカンファレンス「Informatica World 2007」がスタートした。アバシCEOは既に多くの企業のデータ統合プロジェクトにPowerCenterが採用され、これまでの戦略が正しいものであると強調した。

» 2007年05月02日 08時00分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 米国時間5月1日、フロリダ州オーランドで米Informaticaの年次ユーザーカンファレンス「Informatica World 2007」がスタートした。アプリケーションやデータベースごとに分散したデータはその連携を難しくし、情報から十分な価値を引き出すことが難しくなっている。Informaticaは同社の「PowerCenter」をデータウェアハウス(DWH)構築のためのETL(Extract, Transform and Load)から、あらゆるデータ統合のためのプラットフォームへと進化させ、この問題に立ち向かおうとしている。

近隣の森林火災でかすんでいた空もすっかり晴れ渡ったオーランド

 米国有数のリゾート地オーランドだが、Orlando World Center Marriottのコンベンションセンターには3日間で60を超えるブレイクアウトセッションが用意され、エンジニアがデータ統合に向けた課題を議論している様子があちこちで見られる。

 Informaticaは2004年にOracleからCEOとして招聘(しょうへい)されたソハイブ・アバシ氏が「The Data Integration Company」のビジョンを打ち出してからというもの、同社はETLベンダーからより広範なデータ統合を支援するソフトウェアベンダーへと変化している。同氏がCEOに就任して以来、10期連続という増収増益を続けており、開幕の基調講演を行った同氏にも自信と余裕が見られる。

ソヘイブ・アバシ氏 米Informaticaのソヘイブ・アバシCEO

 Informaticaが解決しようとしているのは、データがシステムごとに分散し異なるフォーマットやデータ品質が存在するデータの断片化という問題だ。IT予算の60%がこれらデータのインテグレーション(統合)に当てられているとも言われ、IT部門にとってはこれを解決するのは喫緊の課題といえる。これらを手組の開発でインテグレートするにはもはや複雑すぎるだろう。

 アバシCEOはこのようなITの現状を「大きな無駄」と指摘し、ノンコーディングでのデータ統合を可能にする「PowerCenter」の必要性を説いてきた。今年のInformatica Worldでは大きな発表はないものの、既に多くの企業のデータ統合プロジェクトにPowerCenterが採用され、これまでの戦略が正しいものであると強調した。

 「ビジネスバリューはデータから生まれる。もはやデータインテグレーションなしにビジネスの成功はあり得ない」(アバシ氏)

 収益の強化やコンプライアンス、アウトソース、M&Aといったビジネスの課題はもはやITのイニシアティブがなくては解決しない。そこには必ずデータ統合というニーズが存在する。同社のPowerCenterはこれらの課題に対応することができるデータ統合基盤となっているというわけだ。

 アバシ氏は基調講演の中で多くの企業の事例を挙げ、その効果をアピールした。

 エンターテイメント企業の英Virgin mediaは各種システムのデータをコンソリデートすることで15億ポンドのコスト削減を可能にし、ヘルスケアの米Novationはマスターデータ管理により年間900万ドルのコストの圧縮を可能にしたという。

 またMorgan StanleyやVerizonなど、多くの企業が最新の「PowerCenter 8」へ移行し、65%のデータ統合プロジェクトに採用されていると誇る。

 「業界を問わず幅広い企業がデータ統合で多くのビジネスバリューを生み出している」(アバシ氏)

 近々にはメジャーアップグレードではないが多くのエンハンスメントを盛り込んだ「PowerCenter 8.5」のリリースも控えており、データ統合基盤としてこなれてきたPowerCenterを今後も強化していく方向性に変わりはない。

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