SaaSに新たなビジネスチャンス――オンデマンド事業に注力するInformaticaInformatica World 2007 Report

米Informaticaは、ファイアウォールを超えた企業間のデータ統合に注力する。この3月にはPowerCenterを自らホスティングして提供するオンデマンドサービスを開始。同事業を担当するロン・パパスGMは順調な立ち上がりをアピールした。

» 2007年05月04日 08時00分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 データ統合ソフトを提供する米Informaticaは、ファイアウォールを超えた企業間のデータ統合に注力する。米国本社ではオンデマンド事業のビジネスユニットを設置し、Salesforce.comと接続するコネクタ「PowerCenter Connect for Salesforce.com」を提供。この3月には、PowerCenterを自らホスティングして提供するオンデマンドサービスも開始した。

 ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)や企業のSaaS(Software as a Service)活用が進むと、企業の枠を超えてデータの整合性がとれないまま断片化が進む。社内のERPなどのシステムとどうデータを集約するか、データの整合性を保ちながらどうSaaSにデータを登録するか、課題が見え始めている。Informaticaは、ここに注目しファイアウォール超えたデータ統合を行うオンデマンド事業を本格化させようとしている。まだ産声を上げたばかりの事業だが、オンデマンド事業を担当するゼネラルマネジャーのロン・パパス氏は「オンデマンド事業は順調に立ち上がっている」とアピールした。

ロン・パパス氏 米Informaticaオンデマンド事業ゼネラルマネジャーのロン・パパス氏

 同社は2006年6月オンデマンド事業の第一段階として、PowerCenterユーザーに向けてSaaSの代表格であるSalesforce.com用のコネクタ「PowerCenter Connect for Salesforce.com」を販売。Salesforce.comの2大ユーザーが既にこのコネクタの使用を開始しており、「大企業で大きな成功を収めている」とパパス氏は言う。

 第二段階としては、BPO企業などに同社のコネクタをホスティングサービスできるプログラムを提供し、EDS、Hewitt AssociatesなどのBPO企業がいち早く参加を表明した。今年2007年3月には、Informatica自らがホスティングしたPowerCenterの機能を従量課金で提供する「Informatica On Demand」をサービスイン。予定どおりにオンデマンド事業を拡充してきた。

Informatica On Demand 「Informatica On Dmand」

 2006年11月に来日したパパス氏は「現在のInformaticaの顧客はFortune 2000の大企業が中心だが、SMB(中堅中小企業)へのビジネスチャンスが広がる」と可能性を語ったが、実際には「まず興味を持ったのは大企業だった」と振り返る。

 「典型的な大企業は30〜40のオンデマンドアプリケーションを使っている。CIOはオンデマンドのアプリケーションの多さに驚いている状況だ」とパパス氏。ここに大きな需要があったわけだ。

 SaaSは通常のアプリケーションに比べると、低コストでシステムのトライ&バイを行えるというメリットがある。「一度、成功体験が得られれば、乗り換えにくい(stickiness)」という性質を持つ。同氏によると、SaaSユーザーの95%以上が乗り換えないという傾向が明らかになっているという。

 Informatica On Demandでも同様の効果を狙うため、30日間の無償トライアルを行えるようにしているほか、Data Qualityなどの新たな機能を段階的にサービス化していくことで、継続的な顧客の満足度の向上を図っていく予定だ。

 今後の課題は「従量制のトラフィックを引き出していくかにある」とパパス氏。

 日本国内でのオンデマンド事業の第一弾となる「PowerCenter Connect for Salesforce.com」は2007年5月中に提供される見込みだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ