必勝態勢で日本の仮想化市場に臨むXenSource、SCS、CTCの3社(2/2 ページ)

» 2007年05月07日 06時44分 公開
[西尾泰三,ITmedia]
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―― なぜ今回、日本市場への進出を決めたのですか?

ホマユーン XenSourceは2006年後半から米国、欧州で営業活動をしていますが、日本市場は基盤ソフトウェアでは米国、欧州に次ぐ大きさの市場であることを考えると、営業範囲を拡大する次のステップとしては理にかなった選択であると思います。これまで、日本ユーザーからのダウンロードやリクエストの数が大きかったこともあり、わたしたちとしては、日本市場への進出は速やかに進めたいと考えていましたが、新たな市場に進出するには、パートナーが非常に重要な要素を占めます。特に、(コンシューマー向けではない)基盤ソフトウェアであればなおさらです。ソリューション営業の豊富な経験、広大な流通販売能力、高度なシステム構築能力、そしてXen仮想化技術に関する高い専門性を持ったパートナーを探すのに時間を掛けたのです。

―― では、日本市場進出に際し、なぜSCSをパートナーとして選択したのですか? HPやIBMといったハードベンダーをパートナーとすることも考えられると思うのですが。

ホマユーン 確かに、米国ではXenSourceの仮想化製品がIBMのServerProven認定を受けたことに起因し、BladeCenterやIBM System xにXenEnterpriseをはじめとするXenServer Familyをプリインストールして販売していますが、これは現時点では米国のみで展開されています。

 日本市場進出にあたって、幾つかの企業と交渉する機会はありましたが、その中でもSCSは、関連会社であるVA Linuxを含め、前述したすべての能力を兼ね備えていたことが大きなポイントでした。VAリナックスについて言えば、Xenオープンソースプロジェクトにおけるコントリビューターとして、XenSource、Intel、IBMに次いで4番目に位置するほど、Xenに関する豊富なノウハウを有しています。これが、SCSを日本での最初のパートナーに選んだ理由です。

xenプロジェクトに対するコントリビュート状況(各企業のチェックイン数) xensourceが約半数を占めるが、Intel VTのテストにXenを使っているというIntelがそれに続く。VA Linuxは4番手だ(クリックで拡大)

―― 日本市場におけるターゲットは?

ホマユーン XenSourceはx86ベースのWindows/Linuxサーバのコスト削減や効率性改善を求めるITグループにサーバ仮想化ソフトウェアによるソリューションを提供します。典型的な用途としては、サーバの統合、テスト/開発環境での使用が考えられます。

玉川 SCSでは、MarrathonやCassattの販売代理店をしており、SCSとしては、これらを組み合わせた展開も視野に入れています。また、4月23日にXsigoから日本法人設立のプレスがリリースされましたが、現在、評価などを行い、代理店契約に向けて、最終調整中です。これはI/Oの仮想化を実現する製品ですが、これらも含め、トータル仮想化システムとして、市場への浸透を図っていきます。

―― XenSourceは、Microsoftと提携をするなど深いビジネスリレーションがあるようですが、その提携は日本市場にどのように影響しますか?

ホマユーン 特に日本市場においては、ほかの国々より、Microsoftの製品群が高い市場占有率を誇っており、われわれの提携が日本のユーザーにとって非常に有意義なものになると思います。XenEnterprise環境でWindowsを稼働させる顧客は、相互運用性に関する問題に対し、ベストエフォートのテクニカルサポートを受けることができます。このようなXenSourceとMicrosoftとの親密な関係により、Windowsを利用している顧客は、安心してXenSource製品を利用できるでしょう。

―― SCSさんにお聞きしたいのですが、今回の協業発表は、単に品ぞろえを拡充しただけなのか、“本気で”XenSourceを仮想化市場に対するソリューションとして掲げるのか、どちらなのでしょう?

玉川 システムインテグレーターであるので、「XenSourceしか扱わない、VMwareしか扱わない」というのは、顧客の要望を考えてもあり得ない話です。ただし、仮想化市場に本腰を入れていく上では、他社との差別化を図っていく必要もあります。仮想化市場におけるXenの盛り上がり方を見ても、また、Xenについての高いノウハウを持つVA Linuxを傘下に持つSCSだからこそ、今回日本市場に進出するXenSourceと他者に先駆けて協業し、差別化をうたっていくことはその戦略にかなっているのではないでしょうか。

―― 最後に、価格と販売開始時期を教えていただけますか?

玉川 販売開始時期は、5月の中旬から下旬ごろを考えています。価格は、2ソケットで32万円の予定です。



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