JavaOne開幕で明らかとした究極の“オープン”2007 JavaOne(2/3 ページ)

» 2007年05月09日 18時52分 公開
[渡邉利和,ITmedia]

 同氏が客席と話しながらメールアドレスを正しく修正していく様子は、ある意味ではオープンソースコミュニティーとの対話を通じて、自社のソフトウェア戦略を修正していくSun自身の姿勢と重なって見えたといっても大げさではないだろう。

 なお、同氏は重要な要素としてGPL v2をライセンスとして採用したことに触れ、その意味を簡潔に説明した。

 要は、ソフトウェアの非公開化/占有化を許さず、常に成果を公開し、還元することを強制するGPLのスタイルが、Javaの重要な要素である互換性維持に有利だという判断だという。

 1年前まで、SunはJavaのオープンソース化を求める声に対し、“Write Once, Run Everywhere(一度書けば、どこでも動く)”というコンセプトを盾に、オープンソース化し、自由な改変を認めてしまうとある実行環境では動作するJavaアプリケーションが、他の実行環境では動かないという非互換性を生じる可能性があり、これはどこでも動くことを前提として認知されているJavaにとって致命的なマイナスとなりかねないと説明していた。

 この以前の説明に対して、オープンソース化に踏み切った理由として明確な反論を打ち出す必要があると判断した結果だと思われる。

 なお、Open JDKに基づいて開発された実装の互換性の確認に関しては、Java SE6 Technical Compatibility Kit(JCK)を利用することもでき、ライセンス面と合わせて確実に互換性保証が可能となる環境が整えられている。

JavaFX Mobileの実機を示すリッチ・グリーン氏

 新技術として注目を集めたのが、JavaFXだ。これは主に携帯電話やPDAといったモバイルデバイスを対象とし、コンシューマ市場での利用を強く意識した「サンが提供する新しい製品ファミリ」であり、第一弾としてまず公開されたのがWebコンテンツ作成用スクリプト言語「JavaFX Script」と、モバイルデバイス用のソフトウェアスタックとなる「JavaFX Mobile」の2種類が発表/公開された。

 JavaFX Scriptは、Webコンテンツ作成用に設計されたスクリプト言語で、静的な型宣言を前提とする設計から、最近流行しているダイナミックランゲージの流れとは一線を画するが、ビジュアルなWebサイトを構築し、マウスカーソルが重なったボタンを大きくしてユーザーに画面上のどの要素が現在選択されているかを分かりやすく表示する。リッチなGUIをごく少ないコードで実現できるように工夫されたスクリプト言語だ。JavaFX Scriptに関しては、記事を改めてより詳細に説明する予定だ。

JavaFXの取り巻く環境について触れた

 JavaFX Mobileは、Windows Mobile相当のモバイル・デバイス向けOSと考えてよいだろう。ただし、実際には各種のネイティブOSの上に載せて利用する、ミドルウェア層からアプリケーション層までをカバーするソフトウェア・スタックとして構成されている。

 技術的には、先日Sunが買収を発表したSavaJe Technologiesの技術がベースになっている。モバイル機器向けのJavaのエディションとして提供されているJava MEや、そのプロファイルであるCLDCやCDCを置き換えるのではなく、それらをベースプラットフォームとし、その上に載せて利用するものだ。会場ではNokiaやMotorolaのロゴの付いたモバイルデバイスでJavaFX Mobileを動かすデモが公開され、現時点でも実機上で稼働する環境が既に提供可能になっていることが示された。

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