Centrino Pro + vProで目指す真のビジネスモバイルPC

インテルの新世代Centrinoは、従来の高性能+省電力にセキュリティと管理性を統合したビジネスPCのためのプラットフォームになる。

» 2007年05月10日 17時40分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 インテルは5月10日、このほど発表した新世代Centrinoに関する「新世代モバイル・コンピューティング・コンファレンス」を行った。従来からCentrinoで実現してきた「高性能+省電力性」にセキュリティと管理機能が統合され、ビジネスPCに求められる要素をハードウェアベースで実現している。

吉田和正共同社長

 基調講演に登壇した吉田和正代表取締役共同社長は、「第4世代となる新しいCentrinoによって、企業のモバイルコンピューティングがさらに進化する」と挨拶した。吉田氏は、PCの高性能化と省電力化を同時に実現するCentrinoプラットフォームが、世界のノートPC市場の拡大に大きく関わったと述べた。

 日本では年間に出荷されるPCの大半がノート型だが、世界的にもノートPCの出荷比率が高まりつつある。ガートナーデータクエスト調査によれば、2006年に8100万台が出荷された世界のノートPC市場は2011年に1億9500万台規模になると予想され、年率2桁成長が続くとみられる。

 吉田氏は、「ユーザーはPCのモビリティを活用して次々に新しいPCの利用スタイルを創造している。インテルも高性能と省電力によってPCのトレンドを広げてきた」と話す。Centrinoでは、高性能化や省電力以外にもプラットフォームレベルで、無線LANへの対応やPCの多様化を実現するデザイン性を提供してきたと吉田氏は述べた。

Cetrino Pro + vProのよってデスクトップPCやノートPC、また有線や無線環境を問わずにクライアントPCを一元管理できる。セキュリティポリシーの適合状態なども簡単に確認できる

 ビジネスPC向けのCetrino Proでは、さらに企業ユースに耐えるセキュリティと管理機能が統合され、デスクトップPCの効率的な管理を実現する「vPro」プラットフォームをノートPCにも展開できるようになった。企業のシステム管理がリモート環境からクライアントPCを一元的に管理できるようになり、セキュリティポリシーに適応しないクライアントPCへの対応が効率的に行えるという。

5月10日現在でCetrino Pro + vProをサポートするベンダーやSI

 Centrino Pro環境をサポートするベンダーやシステムインテグレータは17社におよぶ。同日発表されたNTTデータとの提携では、企業向けモバイルPC市場の開拓に向けてvProやCentrino Proを中心としたシステムや各種機器の開発・検証からマーケティングに至るまで、包括的な内容で活動を展開するとしている。

2万台のPCをvProとCentrino Proに

 セミナーにはユーザー企業を代表して、富士フイルムコンピュータシステムの渡辺真人代表取締役社長が同社のPC管理の取り組みを紹介した。

 富士フイルムグループのIT事業を行う同社では、数万台規模の情報機器資産があり、PCは約2万台があるという。渡辺氏は、「一括購入による導入機器の標準化や検疫システムの導入、社内情報の一元管理化でPCの利用をシンクライアント化させてきた」と話す。

 それでも全体の約5%に当たるPCではオフライン状態が長く続くなどの理由から常に管理できる状態になっていなかったというまた、海外出張先でウイルス感染の被害に合ったPCの監視を効率化する課題もあった。

 同社では2006年のvPro登場で、まず優先的に750台のデスクトップPCをvPro対応モデルに切り替えた。だが、稼働しているPCの大半がノート型であり、ノートPCに対応したリモート管理機能の登場を待っていたという。すでに評価機を用いた実証を行っており、「問題なく稼働している」(渡辺氏)という。

 渡辺氏は、「管理者がすべてのPCを遠隔監視できることで、当社の業務環境が激変するかもしれない」と話し、今後はPCの更新に合わせて数年をかけてCentrino Proを搭載するPCに切り替えていくとしている。

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