巨大コンテナサーバ「BlackBox」の中へ入ってみた2007 JavaOne(2/2 ページ)

» 2007年05月11日 13時41分 公開
[渡邉利和,ITmedia]
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 各ラックには温度センサーが設置され、熱交換機を通った気流の温度が約15℃(60°F)に維持されているという。こうした冷却システムを作り上げたことで、コンテナ内に8本のラックを収容し、ラック1本あたりの許容最大電力量は25kW、全体で200kWとなった。

 一般的なデータセンターでは、ラックの電力量を高めると冷却能力が追いつかなくなるため、ラックにぎっしりサーバを詰められないこともあるが、Project BlackBoxでは面積あたりの演算能力を一般的なデータセンターの3倍に高めることができたという。

トレーラーヘッドとコンテナの間にはさらに小部屋のようなスペースがあり、機器が設置されている。ここにあるのは、コンテナ内を循環してきた冷却水を冷却するための熱交換機だと思われる

 なお、利用環境としては野外設置を想定して設計されているが、周囲温度の上限は現状では約54℃(130°F)までで、砂漠やジャングルでの使用までは現時点では対応していないという。ただし、Sunではサーバなどを搭載しないフレームのみの状態でも提供可能としており、それをパートナーがカスタマイズしてより過酷な環境に対応するようにすることは考えられるという。

 このままだと、災害出動や軍事利用しかイメージできないのだが、Sunでは民間企業のデータセンターの立て替えなどの際に、一時的な代替設備として利用することも考えられるとしており、幅広い利用を想定しているようだ。また、このままの形で利用するだけでなく、この冷却システムを一般的なデータセンターで応用することで、既存のデータセンターのグレードアップを行うということも考えられそうだ。

 最後に、日本人としては気になる「錆びないのか?」という点については、「分からない」という回答だった。あくまでも外側のコンテナに関しては標準的なものを使用しており、ステンレスなのかただの鉄なのかは不明だという。港などで真っ赤に錆びて放置されているコンテナを見かけることを考えると、やはりこれは雨の少ないカリフォルニアの企業のアイデアなのだという気もするのである。

 この図は、コンテナ内のエアフローの概念図だ。白い四角がラックを示し、ラック間の青太線が熱交換機(ラジエター)。ラックを通過して熱せられた空気は、熱交換機で水冷冷却され、次のラックに入る。写真から分かるとおり、ラックの周囲はパネルで覆われ、気流が漏れないようになっているため、効率よく冷却と熱交換が行なわれる。熱交換で気流からの熱を奪った冷却水はコンテナ外の熱交換機で冷却されて再び循環する。

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