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» 2007年05月16日 20時37分 UPDATE

“The Toy Show”でゴスリング氏が狙ったもの

ジェームズ・ゴスリング氏はJavaOne最終日で“The Toy Show”と題した講演を行った。この中では、数々のガジェットを紹介したが、例年とは異なる雰囲気となった。その理由は何か?

[渡邉利和,ITmedia]

 “The Toy Show”はJavaそのものの開発者として知られるジェームズ・ゴスリング氏が司会役となり、さまざまな「おもちゃ」を紹介していく、という趣向のゼネラル・セッション。最終日のお楽しみという意味合いもあるが、Javaにおける“エッジ”の面を見せるという性格も兼ね備える。例年同様の企画が行われているが、今年はホスト役のジョン・ゲージ氏が、わざわざ「何が面白いのかをゴスリング氏が解説する」と冒頭で断わりを入れていた。どうやら内容には分かりづらい? という声があったものと思われる。

SolarisのProject D-Light

 最初に紹介されたのは、Solaris 10の目玉機能として実装されたDTraceを、Javaプログラマが活用するという趣旨の“Project D-Light”だ。

 ただし、紹介のために登壇したRoman Shaposhnik氏は、緊張していたのか恐ろしいほどの早口であり、休む間もなく時間いっぱいに喋り続けた。正直、筆者の英語力ではほとんど内容が理解できなかったほどだ。おおよその機能としては、DTraceの機能を利用してJavaプログラムの実行時の情報を詳細に取得し、プログラムの動作の精細な理解や改良に役立てる、というもの。

DSC_4161.jpg DTraceのデモはかなりテクニカルなものとなった

 Javaコードの中で、どのAPIがどの程度のクロックサイクルを消費しているか……、OS側のサービスにどの程度の負荷となっているか、といった情報がグラフィカルに表示される。DTraceはSolaris 10以降で動作するSE 6でサポートされており、Project D-Lightの提供開始は5月末が予定されているという。まずはSun Studio用のプラグインが提供され、すぐにNetBeans用プラグインの提供も開始される予定だ。

リアルタイムの映像解析

 CinegisticsのCEOのTad Frysinger氏は、リアルタイムで映像を解析するJavaソフトウェア「CINESHOT」のデモを披露した。

DSC_4188.jpg デモでは会場を映し出し、光量による階調分析を行った

 ステージ上からホームビデオカメラで客席側を撮影し、その映像をリアルタイムでPCに取り込み、さらに映像の状況を解析するというもの。光量の多さを把握し、実際の映像を色変換して表示することで、どの部分がどのような撮影条件になっているかを分かりやすく表示することができる。この情報を元にライティングを変更する、といった対処を行えば、常に好条件の映像が撮影できるようになるというわけだ。

Java版Second Life

 Paul Byrne氏が紹介した“Project Wonderland”は、言ってしまえばJava版“Second Life”だ。

 3Dの仮想世界を構築し、そこでユーザーの代理となるアバターを動き回らせる、というコンセプトにはいまさら新鮮味はなく、酷な言い方をしてしまえば「Javaでも実現できる」ことを実証したに過ぎないとも言える。面白いのは、仮想世界内でWebブラウザなどを動かして情報を表示させることなどができるのだが、これが完全な3D表示になっており、かつベースにLooking Glassの技術が使われている点だ。Sun発の技術を組み合わせて新しいものを作った具体例と見ることができる。

おもちゃのロボットにインパクトは

 WowWeeのCTO、Davin Sufer氏が紹介したのは既に市販されているおもちゃのロボット「ROBOSAPIEN」だ。

DSC_4207.jpg Javaアプリケーション搭載のROBOSAPIEN

 発売時には日本でも話題になったので、知っている人も多いだろう。二足歩行ロボット技術という視点ではあまり見どころないおもちゃなのだが、Javaが搭載されており、ユーザーが動きをJavaでプログラミングできるという点がJavaOneに登場した理由だ。

 実は会場内に即売ブースが設けられており、来場者は割引価格($250程度)で購入できるという特典が提供されていた。

 そのブースでSufer氏に聞いた話では、JavaのExtensionとしてRobot APIを作成し搭載しており、今後JSRに提案して標準化の計画があるという。動きをプログラミングしているのは13個のモーターで、動作の制御には「前に歩く」といった高水準命令が用意されていると同時に、13個のモーターを個別制御して自由な動きを作り出すこともできるという。こちらもアイデアとしてはLEGO MINDSTORMの同工異曲という感が拭えないが、見た目のおもしろさではROBOSAPIENが勝っているのは確かだろう。

 ステージ上では3台のROBOSAPIENが曲に合わせてダンスするというデモも披露されたが、動きはゆったりしたもので、日本人参加者としては、「ソニーが踊るロボットをデモしたのは何年前だっけ?」と考えてしまったのも事実である。

地形探査ロボットヘリでリアルタイム性をアピール

 Perrone RoboticsのCEO、Paul Perrone氏が紹介したのは、地形探査用のロボットヘリコプターだ。これは、大型のラジコンヘリにインテリジェントな制御機能を搭載し、自律飛行させて地形探査を行うというもの。

DSC_4236.jpg 自ら寝ころんで地形デモとなったゴスリング氏

 地表に向けてレーザーを照射して起伏を読み取り、搭載されたGPSによる情報と合わせて正確な地形起伏図を作成できる。ステージ上に寝ころんだジェームズ・ゴスリング氏とPaun Perrone氏の上を通過したロボットヘリが平らなステージ上に浮かび上がった人型を正しくデータ化している、というデモなのだが、実際には万一の事故の可能性を考えてヘリコプターはワイヤーで吊られて移動しただけ。実態としてはレーザー探査機のデモとなってしまっていた。

 そうとはいえ、大きさがかなりのもののため、万が一客席に落下するような事態があると大変なため、ここは仕方のないところだろう。“Toy”とはいえ、実際にはゴスリング氏が関心を惹かれたモノ、ということであり、来場者の誰の目にもToyに見えるものばかりではなかったのは確かだが、それなりに見応えはあった。

 しかしながら、以前と比べて驚きが薄れているのも確かで、どちらかというとJavaは既に実用のツールとして使われており、それ自身には最先端の香りは感じられなくなっていると言わざるを得ないのではないか、と感じさせられたのが正直な感想だ。

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