ユーザーが「箱を開けた瞬間から」ソフトに親しみを持ち、利用を楽しめるよう、IBMはユーザー体験強化にフォーカスしている。
適切なユーザー体験を製品やサービスで提供する競争が過熱し、Adobe、Microsoft、さらにはSun Microsystemsなどが参入してきているが、IBMを除外してはいけない。
IBMも等しく、製品で魅力的なユーザー体験を提供することにフォーカスしており、かねてからそれに取り組んできたと、IBMのLotus部門ジェネラルマネジャー、マイク・ロディン氏は言う。
「ユーザーインタフェースだけではなく、システムの利用体験全体が重要だ」と同氏。IBMはユーザーが「箱を開けた瞬間から」同社ソフトに親しみを持ち、利用を楽しむことを望んでいると同氏は言う。
実際ロディン氏は、Lotusではユーザー体験を強調する動きが高まり、同氏はこの問題にフォーカスするグループを2つ設けたと語る。1つはノースカロライナ州ローリーに、もう1つはマサチューセッツ州ケンブリッジにある。
「彼らが外側からすべてのものを設計している。彼らは当社製品の使い勝手の改善に重点を置いている」(同氏)
ユーザー体験にフォーカスし、企業が人間中心の製品を設計する支援をしているNielsen Norman Groupは、ユーザー体験を「エンドユーザーと企業、そのサービス、製品との相互作用のあらゆる側面」を包含すると定義している。「模範的なユーザー体験の最初の必要条件は、顧客の手を煩わせずに、顧客の正確なニーズを満たすことだ。次は持ったり使ったりするのが楽しくなる製品を生み出すシンプルさとエレガンス。真のユーザー体験は、顧客に彼らが欲しいというものを与えたり、チェックリストに載った機能を提供するだけにとどまらない」
IBMはAdobe、Microsoft、SunのようにRIA(リッチインターネットアプリケーション)構築のためのクロスブラウザ、クロスプラットフォーム環境を開発する新プラットフォーム環境は提供していないかもしれないが、自社製品が高品質のユーザー体験を提供することを確実にしているとロディン氏は言う。
「市場の現実に対応している。必要なことだ」と同氏は語る。同氏は、労働者の変化に伴い、製品のユーザー体験によって企業がトレーニングに多額の投資をしなければならないかの違いが出ることもあると指摘する。
実際にIBM WorkplaceのPortlet Paletteでは、「ユーザーはアイコンを選んで自分のページにドラッグできる。われわれは、マッシュアップ構築を容易にする同様のツール一式を作らなくてはならない」とロディン氏は語り、IBMが最近、エマージングテクノロジーチームのQEDwikiとともに、そのための技術を発表したことに触れた。
しかし、ユーザー体験に関するIBMの主な関心は、「自社ソフトをもっと使いやすくする」ことにあると同氏は言う。「(IBMの)ソフト部門では、『使い勝手の年』と呼んでいる。顧客が簡単にソフトを活用して、そこからもっと速く価値を得られるようにしたい」
新しいWeb2.0ソフトの社会的コンセプトは、エンタープライズの文脈でも価値があると同氏。
「IBM社内には何年もの間Facebookのようなものがあった。われわれはそれをBluePagesと呼んでいる。(Lotus)Connectionsでそれを拡大している」(同氏)
IBMのSOA(サービス指向アーキテクチャー)戦略における同氏の役割は、この戦略のためのインタラクションサービスを提供することだという。
また同社は、Lotus Notes 8.0提供に向けて取り組んでいる。今週中に同製品の第2公開βをリリースする予定だと同氏は言う。第2βは、3月にリリースされた最初のβ版のユーザーフィードバックに基づいている。「夏半ばに出荷する準備ができている」と同氏はNotes 8.0について語った。
「2〜3カ月前に(Notes 8に)乗り換えた。生産性が非常に向上しているので、戻れない」(同氏)
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