なぜシステムダウンは起きたのか?――オルタナブロガーの視点オルタナブログ通信(1/3 ページ)

ANAのシステムトラブルは、利用客に多大な影響を与えた。そして、ひかり電話でも再びトラブルが。ネットにまつわる障害が続いた。このような時事に対し、オルタナブロガーが、独自の視点から発信していくのがオルタナティブ・ブログである。

» 2007年06月01日 11時31分 公開
[森川拓男,ITmedia]

大規模システム障害、続く

 前回、前々回と大規模なシステムトラブルについて触れたが、今週もまた、事件は起きた。

 5月27日早朝、全日空の国内線のコンピュータシステムに障害が発生、予約や搭乗手続き、手荷物管理などが通常通り行えなくなってしまった。

 このために羽田空港の発着便を中心にダイヤは大幅に混乱、遅延や欠航が相次いだ。羽田空港以外でも各地の空港でシステム障害が発生、さらに全日空との共同運航で共通のシステムを利用している航空各社の便でも遅れなどの影響があった。これに対して翌28日には国土交通省が、全日空に対して原因究明及び再発防止策を早急にとるように求めている。

 オルタナティブ・ブロガーにも、この影響を受けた人がいた。西脇資哲(Waki)氏(とんでもないことになってました、システムトラブルの空港にて)と、吉川日出行氏(ANAのトラブルで予定変更)だ。

 このシステム障害は、全日空グループの予約・発券システム「総合旅客システム(able)」で発生した。東京都内のホストコンピュータが、全国各地の空港カウンターや旅行会社にある端末と、専用端末で結ばれているシステムだ。

 ホストコンピュータの手前には6台のサーバが設置されており、各空港や旅行会社とのデータのやり取りはこのサーバを通して行っている。本来、6台のうちの何台かに障害が発生しても、自動的に生きているサーバに切り替わって、問題なく業務が出来るようになっていた。

 この6台のサーバのうち3台を24日までに2週間ほどかけて更新していたのだが、ここでネットワーク障害が発生してしまい、処理能力が大幅に低下したという。

 27日正午頃、3台を旧サーバに戻したところ、システムの処理能力が回復し、ホストコンピュータの処理能力を超えてしまうほどのジョブデータが一挙に掃き出された。15時半には全面復旧し、18時以降出発の便から運行も再開された。しかし、余波は翌日にも続いており、数多くの乗客の足に影響を及ぼす結果となったのである。

 中寛之氏「情報インフラ24時 眠らないシステム」に28日に投稿された全日空のシステム障害を考えるでは、今回の件を受けてシステムのリリースにあたっての注意点が提起されている。

 実際のところ全日空ではここに書かれたように全システムを更新せずに半分だけ更新し、半分は更新せずに残すという危機管理を行っていたのだが、それでも切り替わらなかった故に障害が起き、多大な影響を与えてしまったことは反省すべき点であろう。

 ネットワークでつながっていると、影響がその1カ所だけでなく、他社をも巻き込む形で広がっていく可能性がある。Webサービスの根底にもサービス間連携があることから、今後いっそう問われていくはずだ。

 システム障害では、武田圭史氏「武田圭史のセキュアーで行こう!」でも、今週のランキング1位は【1位】NTTひかり電話で通信障害だった。しかも、これは終わったことではない。5月30日にも「ひかり電話」のルータのソフト不具合が発生、正常に着信しないなどのトラブルが発生している。早いところ安定してほしいものだと願うばかりだ。

著作権に関する関心が高い

 ITmediaのビジネス・ブログメディア「オルタナティブ・ブログ」には、120組を超えるオルタナティブ・ブロガーが参加している。このオルタナティブ・ブログで1週間に投稿された内容からチョイスしながら紹介し、読者がオルタナティブ・ブログを読む時に参考にしてもらおうというのが、「オルタナブログ通信」の目的である。

 今回は、5月24日〜5月30日に投稿されたエントリの中から筆者の視点でピックアップしたものを紹介する。今回は、「美しい国」モバイル広告Feedの可能性スパム問題著作権問題といったキーワードから話題を取り上げてみた。

5月24日〜5月30日を最新としたオルタナティブ・ブログのステータス

 引き続き今回も、オルタナティブ・ブログの「見える化」を行った。5月24日〜5月30日を「5月4週」という形にして、それぞれ開始日を基準に、8週間分のデータをグラフ化してみた。

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