企業のストレージを統合する「Storage United」戦略を発表Symantec Vision 2007 Report

Symantecの年次カンファレンス「Symantec Vision 2007」が開幕し、トンプソン会長兼CEOが同社の新たな戦略を発表した。

» 2007年06月13日 08時10分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 米国時間の6月12日、米Symantecの年次プライベートカンファレンス「Stmantec Vision 2007」がネバダ州ラスベガスで開幕した。今回のカンファレンスは、旧Veritas Software時代から数えて10回目、またSymantecの創業25周年に当たる節目の開催となる。

米Symantecのジョン・トンプソン会長兼CEO

 冒頭の基調講演に登壇したジョン・トンプソン会長兼CEOは、「米Times誌はかつて“Machine of the year”と題して情報革命の到来を予言したが、今日のようにPCやモバイルなどあらゆるデバイスを用いてユーザーがさまざま情報にアクセスするような環境になるとは誰も予想しなかっただろう」と述べた。情報を利用する環境がますます複雑になる中で、トンプソン氏は「情報の境界線が曖昧になりつつあるが、ベンダーやユーザーは情報を安全に提供/利用することに対して“自信”を持つことが大切だ。Symantecは情報のつながり部分を全面的にサポートしていく」と語った。

 企業のデータセンターに目を向けると、すでにサーバシスシステムやネットワークなどをカテゴリとして捉えるのは難しく、「リスクとコストを減らしながら誰でもが情報を利用できるようにしなければならない。どのようなOS、ストレージ、仮想化システム、デバイスだろうとすべてが利用できるオープンな環境が企業に求められる」(トンプソン氏)という。

 Symantecの調査によれば、企業のストレージ環境は2年で2倍ずつ拡大するといい、ストレージの拡張や管理用人員の確保が早急な課題となっている。トンプソン氏は、「だがストレージの重要性の認識していない企業は多く、ニューヨークを例に見てもストレージを有効的に利用している企業は27%ほどでしかない。我々の当初の想定では70%以上になるとみていたが、84テラバイト容量ものストレージをまったく活用できていない企業もあったほどだ」と述べた。

ストレージおよびセキュリティの統合

 拡大の一途をたどるデータセンターにとって最も切実な課題が管理性となる。この課題に対して「すべてのストレージを単一のものとして統合していく必要がある」とトンプソン氏は話し、ストレージ管理の新たなコンセプト「Strage United」と、これを具現化するエンタープライズ向けデータ保護ソリューションの新製品「Veritas NetBackup 6.5」(NBU 6.5)を発表した。

 NBU 6.5は、企業内にあらゆるストレージやサーバシステムを対象にデータの重複排除やバックアップ、仮想化、デュプリケーションを行うデータ保護のため新たな統合プラットフォームとなり異なるOSや管理ツール、システム環境を包括してこれらの機能を単一のコンソールから実行できるという。トンプソン氏は、「ストレージは保存するための存在としてではなく、サービスを提供する存在として捉える」と述べ、企業はリスクや運用コストを含めた正確なデータセンターのプランニングが可能になるとしている。

 またエンドポイントにおいては、PCやモバイル、ワイヤレスなどアクセス手段の多様化によって、情報漏えいを中心としたセキュリティ対策のさらなる強化を効率的な管理、対策が求められようになったとトンプソン氏は話す。「メールやWeb、インスタントメッセージングなどの情報を効率的かつシンプルに保護していくニーズに対して、Information Foundationをいう統合プラットフォームを提供する。」(トンプソン氏)

 Information Foundationは、従来ではメールアーカイビングやウイルス対策といった利用目的別にラインアップされていた同社の製品群を統合し、マルチレイヤーでエンドポイントを保護するソリューションを提供するという。また、この新製品では未知の脅威に対する手段として「ソナーテクノロジー」と呼ばれる独自の解析技術を投入する。同技術は、悪意性を秘めていると見られるコードを解析することでセキュリティ管理者へ事前に新たな脅威を警告することが可能になり、ゼロデイアタックを含めた3万5000パターン以上の未知の脅威を事前に察知することができるという。

 同時にトンプソン氏はセキュリティ対策の最も重要な点として、「ポリシーの徹底を最優先すべきだ」とも述べた。次世代のエンドポイント向け製品では、あらゆるユーザーのポリシーの適用状態を監視し、問題点を検出してユーザーに適切なポリシーを強制させる機能を提供する。

 最後にトンプソン氏は、「IT業界は今後25年間でどのように変化し、誰がリーダーになるかはまったく予想できない。しかしSymantecは、今後も企業のあらゆるインフラを確実にサポートし続けていくことを約束する」と締めくくった。

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