WAN高速化の主戦場、Interopへ「ネットワークの祭典」に見るし烈な争い(1/2 ページ)

幕張メッセで開催中の「Interop Tokyo 2007」は、各社のWAN高速化製品が一堂に会する格好のイベントでもある。各ベンダーが持ち味を生かしたソリューションをぶつけ合った。

» 2007年06月15日 08時00分 公開
[井上猛雄,ITmedia]

本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムック「最適化から始まる、WAN高速化への道」でご覧になれます。


 幕張メッセにおいて開催中のネットワークの総合イベント「Interop Tokyo 2007」。このInteropでも、主要ベンダーやSIerの出展ブースにおいてWAN高速化/最適化ソリューションが数多く展示され、この市場での競争のし烈さを物語っていた。本オンライン・ムックでは今後、各社の製品の特徴を紹介する予定だが、ここではInterop会場で展示されていた各ソリューションをレポートしよう。

 まずSIerのブースの中で最も目を引いたのがマクニカネットワークス。同社では、ジュニパーネットワークス、ブルーコートシステムズ、シトリックス・システムズ、パケッティアといった主要ベンダーのWAN高速化ソリューションやアプリケーションデリバリコントローラ(ADC)を展示、デモも実施していた。

 例えば、ジュニパーのWAN高速化ソリューション「WXC590」を利用したデモによって、その高速化の効果をアピール。シミュレータで遅延が発生した環境を作り出し、FTPのファイル転送結果から、WAN最適化の効果を測定していた。同社の製品には、オンメモリベースの「WXシリーズ」と、ディスクベースの「WXCシリーズ」がある。いずれもコンテンツキャッシング、独自の圧縮アルゴリズム、SSL通信の高速化などによってWAN高速化を実現する。

画像 ジュニパーのWAN高速化/最適化ソリューション「WXC590」(下側)とアプリケーションフロントエンドの「DX3280」(上側)
画像 WXC590のWAN最適化機能を適用した後のパフォーマンスの様子。ピーク値が上がり、効果が出ていることが分かる(クリックで拡大)

 キャッシュプロキシやセキュリティコントロールの機能をサポートしたブルーコートシステムズの「Proxy SGシリーズ」は、「MACH5」と呼ばれる独自技術によって、オブジェクトキャッシュやバイトキャッシュ、gzip圧縮、帯域幅管理、CIFSや主要アプリケーションのアクセスを最適化することができる。

 特にProxy SGシリーズのオプション機能となる「SGクライアント」は、製品のユニークさが評価されたのか、Interopにおいて最も評価された製品に与えられるアワード「Best of Show Award」にノミネートされていた。これは、従来のWAN高速化/最適化ソリューションのように装置を対向で配置するのではなく、クライアント側にソフトウェアをインストールして、外出先や自宅のPCから、センター内のサーバへのアクセスを高速化するモバイル向けソリューションだ。

画像 ブルーコートシステムズの「Proxy SGシリーズ」。キャッシュプロキシやセキュリティの機能をサポートするのが特徴

 また、トラフィック管理機能を核とするパケッティアの製品は、インテリジェントなアプリケーションレベルのQoS制御や圧縮技術のほか、「Xpress TCP/Xpress HTTP」と呼ばれるTCP拡張技術などによってWAN高速化を実現する。CIFSによるファイル共有サービスへのアクセスを高速化するWAFS(Wide Area File Services)アプライアンス「iShared」、WAN上で大量のTCP通信を必要とする場合に適するWAN高速化/最適化ソリューション「SkyX」、帯域管理やWAFSの機能を一体化した拠点向けの「iShaper」などがある。

画像 パケッティアの製品群。上から、WAN最適化装置の「SkyX」、WAFSの「iShared」、帯域管理装置の「PacketShaper」

 シトリックス・システムズについては、負荷分散装置の「NetScaler」が紹介されていた。これは、アプリケーションスイッチ機能をベースに、圧縮・キャッシュなどのWeb高速化機能を加えた製品。同社は、小中規模拠点間のWANを高速化/最適化する「WANScaler」も発売している。こちらはWAFS製品という位置付けである。

画像 シトリックス・システムズの負荷分散装置「NetScaler」(上側)。アプリケーションファイアウォール(下側)も展示

 リバーベッドテクノジーのブースでは、同社の「Steelheadシリーズ」を出展していた。こちらも、データの圧縮/キャッシュ、CIFSプロトコルやTCPプロトコルの最適化をサポートする。また、SSL通信を高速化する機能なども装備している。このシリーズは、下位機種から上位機種まで幅広い製品ラインアップが強みと言える。NECブースでも「WanBooster」を展示し、Windowsファイル共有の高速化を実演していたが、これは実はリバーベッドのOEM製品である。ただしNECによると、ハードウェアはNECの製品を使用しており、ディスクのインタフェース回りについて、より信頼性を高めているという。

画像 NECの「WanBooster」。リバーベッドのOEM製品だがハードウェア自体はNEC製
画像 WanBoosterのデモ。Windowsファイル共有でファイルを開く際の効果について実演していた(クリックで拡大)
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