「IT火災」の消火で年間31日の浪費が発生

「英国のビジネスマネジャーたちは、ITシステムのずさんな管理に起因する障害に対処するために31日の就業日を無駄にしている」。このような調査結果が明らかとなった。その真相は?

» 2007年06月15日 07時51分 公開
[Deborah Perelman,eWEEK]
eWEEK

 英国のビジネスマネジャーたちは、ITシステムのずさんな管理に起因する障害に対処するために31日の就業日(年間就業日の10%以上)を無駄にしている――英国のサービス管理企業であるPartners in ITは6月4日、このような調査結果を公表した。

 調査に協力したIT関連以外のビジネスマネジャーの4分の3近く(74%)は、毎週、平均で自分の勤務時間の12%を、ITシステムが原因で発生した問題に対処するのに費やしていると答えた。回答者の80%は、ITシステムのダウンタイムは生産性にかかわる問題だとしている。また、大手企業のIT部門の回答者の90%が、ダウンタイムは生産性にかかわる問題であることを認めており、これは自身および同僚にとって深刻な問題であると答えた人も半数(51%)に上った。

 自社のITがビジネス資産と見なせるほど効率的に機能しているだろうかという疑問を抱いている人々に対し、「IT Service Management―Is It Worth the Money?」(ITサービス管理はコストに見合うか?)と題されたこの調査は、問題はインフラではなく保守管理にあると指摘する。中堅企業のマネジャーの77%がそう答えており、維持管理が不十分なためにIT投資の13%が無駄になっていると推定している。

 Partners in ITのマネージングディレクター、ポール・キャッシュ氏は、「ITのずさんな維持管理のせいでマネジャーの貴重な時間の多くが奪われているというのは、とんでもないことだ。ITは、マネジャーが効率的・効果的に業務を運営するのを支援する重要な基盤でなければならず、また、業務運営というコアタスクに専念できるようマネジャーの時間を節約するものでなければならない。何かが間違っており、この状況を改める必要がある」と述べている。

 「成功企業のグローバル化は、労働力のフレキシブル化・モバイル化と相まって、巨大企業においてもイノベーションを促進した。このイノベーションの推進では、ITもそれなりの役割を果たしたが、ITは保守管理を行う必要がある。そのメリットを最大限に引き出すには、保守管理に時間をかける必要があるのだ」とキャッシュ氏は指摘する。

 キャッシュ氏によると、プランニングにも問題があるという。新しい技術やプロセスの導入を決定する前に、自社のITの現状ならびに主要なビジネスサービスを監視・管理する能力を把握することが、ITリソースの無駄をなくすのにつながるという。「こういったプランニングがないと、導入が完了した後で保守管理が追いつかなくなるために、技術およびそれがもたらす価値が損なわれるケースが多い」と同氏は指摘する。

 さらに同氏は、ITにおける「ヒーロー主義」――すなわち、堅実で実施可能なプロセスの欠如の結果、新しいプロジェクトのたびに同じことを一からやり直すような無駄についても警告している。

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