「暗号化技術を主流派に」、アイアンポートがPostXの技術統合へ

アイアンポートシステムズは第3四半期をめどに、メールセキュリティアプライアンス「IronPort Cシリーズ」にPostXの暗号化技術を統合する予定だ。

» 2007年06月15日 12時34分 公開
[ITmedia]

 アイアンポートシステムズは6月14日、同社が先に買収したPostXの暗号化技術をメールセキュリティアプライアンスに搭載し、2007年第3四半期をめどに投入することを明らかにした。

 同社ではこれまで、スパムメールやフィッシングメール、悪質な添付ファイルを含む電子メールを企業ゲートウェイでブロックするアプライアンス製品「IronPort Cシリーズ」を提供してきた。IPアドレスごとにプロファイリングを行い、メールの送信量やドメインの所有者、その期間といった情報を元にスコアリングを行って、それを元にブロックすることで、高い精度でのフィルタリングを実現している。

 このIronPort Cシリーズに、2006年11月に買収したPostXの暗号化テクノロジー「PXE Secure Envelope」を統合していくという。

 電子メールの暗号化の必要性は認識されながらも、普及は進んでいない。米IronPortのプロダクトマネジャー、ケビン・ケネディ氏によると、その理由は「複雑で使いにくく、コストがかさんでしまうため」。これに対しPXE Secure Envelopeは、専用ソフトウェアを導入する代わりにWebブラウザを活用することで、透過的に導入、利用できる点がメリットという。

米IronPortのプロダクトマネジャー、ケビン・ケネディ氏

 PXE Secure Envelopeでは、企業が発信する電子メールをゲートウェイ側で一括して暗号化する。暗号化のための鍵は別途用意される「キーサーバ」に格納される。受信者にはリンクが記された添付ファイル付きのメールが送られ、このURLにアクセスするとパスワード認証行って鍵を受け取り、復号化する仕組みだ。キーサーバは、アイアンポートが提供するASPサービスを利用することも可能だ。

 今後、IronPort Cシリーズとゲートウェイでの暗号化を組み合わせることで、「コンテンツフィルタリングによって、適切な処理を判断し、適用することができる。暗号化が不要なものと判断されればそのまま平文で送ればいいし、重要な情報であれば漏れなく暗号化して送信し、ポリシーを徹底できる」(ケネディ氏)。また、履歴の管理や開封確認、メッセージの取り消しといった機能を備えていることも特徴という。

 ケネディ氏は、送信者、受信者ともに使い勝手を向上させる統合暗号ソリューションにより、「電子メール暗号化の限界を乗り越え、暗号技術をメインストリームにしたい」と述べた。将来的には、S/MIMEやPGPを用いた暗号化技術なども統合していく方針という。

 なお、アイアンポート自身も2007年1月にCisco Systemsによる買収が発表されている。この買収は6月19日に完了する予定だが、組織およびブランド少なくとも1年半はこのまま継続する見通しという。

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