ビジネス価値に基づいて「開発」される要求とは?――谷間を埋める上流開発(1/2 ページ)

ビジネス環境の変化が激しい現在では、環境に適応して自社のビジネスを俊敏に進化させなくてはならない。ビジネスモデリングによる「可視化」を活用することで、何が改善されるのか?

» 2007年06月19日 07時00分 公開
[増田克善,アイティセレクト編集部]

 「ITシステムに対する要求は、あらかじめ存在しているものではなく、ビジネス価値に基づいて『開発』されるべきものである」という考えに立って、ビジネス的な価値を生み出すITシステムのシステム要求を体系的に開発する方法論を提唱する団体がある。ビジネス主導によるIT化のための真のシステム開発方法を作り出し実践することを目標とした、ユーザー企業とソフトウェア開発企業のメンバーからなる「要求開発アライアンス」である。

 同アライアンスが提唱する要求開発方法論「Openthology」は、オブジェクト指向分析・開発やUML(Unified Modeling Language)といったシステム開発で活用されてきた手法を利用してビジネスをモデル化するもの。

 これらのモデリング手法を適用することによって、ITだけでなくビジネスそのものを可視化し、改善できる点が注目すべきところだ。「可視化」による改善がビジネスにとって不可欠なものになりつつある理由の一つは、変化への対応がかつてないレベルで求められていることにある。

 ビジネス環境の変化が激しい現在、環境に適応して自社のビジネスを俊敏に進化させなくてはならない。ビジネスモデリングによる「可視化」を活用すれば、現時点における自社のビジネスの全体像を明確に把握し、将来のあるべき姿を構想することが可能になる。

 Openthologyは、ビジネス的要求をシステム要求に変換するためのシステマティックなアプローチとともに、次のような方法を提供する。

(1)戦略的IT化を推進するための組織形成やプロジェクトの構成方法

(2)経営課題やビジネス要求を構造的に分析する方法

(3)ビジネスの構造やメカニズムを視覚化する方法

(4)ステークホルダーの合意を形成しつつプロジェクトを推進する方法

(5)企画したシステムによるビジネス的価値・効果の検証方法

(6)ビジネス要求とシステム要求のトレーサビリティの管理方法

要求開発の位置づけ(要求開発アライアンスの資料より)
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