HPが新しいQAツール/サービスを予定通り発表へ

HPは、買収したMercuryのQAテスト製品とビジネス要件管理を統合したQuality Centerをリリースする。

» 2007年06月20日 07時00分 公開
[Paula Musich,eWEEK]
eWEEK

 Hewlett-Packard(HP)によるMercury Interactiveの買収が完了して7カ月が経過した今、HPでは自社の歴史を通じて最大のソフトウェア企業買収後の統合が効果的に進んでいることを示すべく、広範なソフトウェアリリースとサービスを発表する予定だ。

 カリフォルニア州パロアルトに本社を置くHPは、6月18〜22日にラスベガスで開催される「Software Universe」カンファレンスで、品質保証(QA)、負荷テスト、ITサービス管理、変更/構成管理などの分野の新製品を発表する。HPによると、これはMercuryの主力製品であるQAテスト製品のユーザーにとって、数年ぶりの大規模なソフトウェアリリースとなるものだという。

 HPでは、「HP Quality Center」という名前に変更されたソフトウェアについて、ビジネス要件管理とQAテストの連携をいち早く実現したと説明している。

 「われわれは今、Quality Centerという単一のソリューションにおいて、ビジネス要件管理をこのプラットフォームの一部として含めようとしている」とHPのジョナサン・レンデ製品担当副社長は語る。こういった連携のメリットとしては、効率の向上、リスク管理の改善、新しいアプリケーションの配備の迅速化などがある、とレンデ氏は話す。

 Forrester Researchのアナリスト、ケアリー・シュワバー氏は、「既に要件管理データとQAテストデータ用の単一のリポジトリを提供しているベンダーがあるかもしれないが、HPのQuality Centerは2つのデータタイプを見事に連携している」と話す。

 シュワバー氏によると、Quality Centerリリースにおける最大のブレークスルーは、リスクベースのテストをサポートしたことだという。「人々は以前からそれを行っていたが、HPは優れたサポートをツールに組み込むことで、何が真のリスクであるかを把握しやすくした」と同氏は話す。

 さらに、Quality Centerリリースは、HPのアプリケーションパフォーマンステストソフトウェア「LoadRunner」の新リリースとともに、アプリケーションのアップデートを小刻みに行う方式に移行する企業においてアジャイルテストをサポートすることができる。「これで企業の品質保証チームは初めて、アプリケーションのアジャイルテストができるようになる」とレンデ氏は語る。

 HPのLoadRunnerの機能強化の主眼は、さらなる自動化による負荷テストの効率改善、ならびにSOA(サービス指向アーキテクチャ)およびWeb 2.0アプリケーションの高度なパフォーマンステストのサポートにある。

 ニューヨーク州フォレストヒルズにあるJetBlue AirwaysでIT QAマネジャーを務めるサギ・バーゲース氏によると、効率が改善されたおかげで、HP LoadRunnerを使っている同社のβテスターたちは、新しいWebアプリケーションのリグレッションテストのコストを最大60%削減できたという。

 「スクリプトの自動化により、手作業で2週間かかっていたリグレッションテストが2日間に短縮された。大規模なプロジェクトでは、作業にかかる労力だけでも10万ドルのコストになることもある。これはわれわれにとって大きな金額だ。」(バーゲース氏)

 QA関連では、HPは今回のカンファレンスでSAPとの提携も発表する。カスタマイズしたSAP Acceleratorを利用して新しいアプリケーションのテストを迅速化するという。さらにHPは、「Quality Factory Services」と呼ばれる新しいプロフェッショナルサービスの発表を行う予定だ。このサービスは、HP Quality CenterおよびLoadRunnerの両ツールを中心としたベストプラクティスや手法などを紹介するというもの。

 これらの改良のほかにも、HPは社内開発用に自社のCMDBに代えてMercuryのUniversal Configuration Management Databaseで標準化を行った。さらに、同データベースとHPのヘルプデスク製品、構成/変更管理製品、ビジネスサービス管理製品との連携を実現したとしている。

 HPの「Change and Configuration Management Center」のバージョン3.0では、仮想作業環境を通じて承認プロセスを自動化することにより、時間のかかる変更諮問委員会の会合が不要になった。

 この最新版Change and Configuration Management Centerには、MicrosoftのWindows Vista OSの導入を自動化する機能が追加された。

 JetBlueのバーゲース氏によると、こういった取り組みに加え、HPがMercuryの統合の成果を示す最大の証拠は、既に進行中の作業のスケジュールを維持できていることだろうとしている。

 「製品改良という観点で言えば、われわれは当初、やや懐疑的な見方をしていたが、スケジュールはきちんと守られている。たぶん買収で作業が加速したのだろう。これは喜ばしいことだ。」(同氏)

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