Vistaの新しいUIと機能、その有効利用を考える(1/3 ページ)

Vistaの新しいユーザーインタフェース機能の一部は、サードパーティーの開発者が自社のアプリケーションの拡張やプロモーションに利用できるだろう。

» 2007年06月23日 00時30分 公開
[Matt Rosoff ,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Windows VistaとWindows XPの違いですぐに目に付く点は、大幅にデザインが変更されたユーザーインタフェースとシェルである。この変更の多くは、一般的な作業の簡素化や新しいOS機能の明示を目的としているが、マーケティング上の目的で実施されているものもある。また、統合デスクトップサーチや、小型のスクリプトベースのアプレットをデスクトップ上で実行するサイドバーなど幾つかの新機能は、サードパーティーの開発者がアプリケーションの拡張やプロモーションに使用できる。

UI変更の理由

 Windowsデスクトップの新しいメジャーバージョンにおいて、Microsoftがユーザーインタフェースのデザインを変更した理由としては、次が挙げられる。

  • アプリケーションの実行やファイルの検索など一般的な作業を簡素化する
  • ユーザーの目に付くように新しいOS機能を目立たせる
  • マーケティングとプロモーション上の目的で、新しい、これまでとは明らかに違うルック&フィールを提供する

 導入側にとって、新しいインタフェースのメリットを実感することは難しい。幾つかの強化は長い眼で見れば作業時間の短縮につながるかもしれないが、短いスパンではユーザーの再教育が必要になる。また、数百または数千のエンドユーザーが作業時間を多少短縮できるようになったところで、組織全体の生産性が上がるとは必ずしも言えない。

 しかし、ISVおよびWeb開発者は、自社のアプリケーションの拡張やプロモーション目的で利用できる可能性があるため、Vistaでの一部の変更についてはチェックしておくとよいだろう。

一般的な作業の簡素化

 Windowsは登場以来、ファイルやフォルダによる階層構造のシステムを使用して情報を整理してきた。しかしこれは、一部のユーザー(特にコンピュータ初心者)にとっては、直感的に操作しにくい。また、ファイルツリーをたどって特定のファイルやアプリケーションを検索することは、特に正確な保存場所を忘れてしまった場合、使い慣れたユーザーにとっても時間がかかるものだ。Vistaにおける変更の多くは、情報の素早い検索を実現することを目的としている。

デスクトップサーチ おそらくVistaのインタフェースにおける最大の強化点は、組み込みのWindowsデスクトップサーチ機能である。同機能は、ローカルPCにあるファイルの内容を基にインデックスを作成し、ユーザーがキーワード検索できるようにする。Microsoftは、検索機能を組み込むことで、ユーザーがスタンドアロンのデスクトップサーチアプリケーションをインストールする必要性をなくしただけでなく、2005年はじめのOS XのアップデートにおいてリリースされたAppleのデスクトップサーチ機能「スポットライト」に対抗している。

 新しい検索ウィンドウはスタートメニューに組み込まれており、XPでは“ファイル名を指定して実行”コマンドがあった場所に表示される(検索ウィンドウは“ファイル名を指定して実行”コマンドの機能も提供し、アプリケーション名を入力するとそのアプリケーションを起動できる)。また、検索ウィンドウはWindowsエクスプローラにも組み込まれている。既定ではエクスプローラの検索ウィンドウからは、開かれているウィンドウ内のファイルとフォルダしか検索されない。特定の検索条件(「Matt Rosoffが作成したすべてのドキュメントの検索」など)を検索フォルダとして保存でき、このフォルダを開くと検索結果が直ちに表示される。既定の検索フォルダも幾つか用意されており、例えば「ここ30日間のドキュメント」という検索フォルダでは、過去30日の間にアクセスしたすべてのドキュメントが表示される。

 アプリケーションをWindowsデスクトップサーチに対応させるためには、多少の開発作業が必要になる。例えば、Vistaのデスクトップサーチは、Microsoftやサードパーティーの各種ファイル形式を既定でサポートしているが、サポートされていない形式を使用するアプリケーションの開発者は、カスタムのiFilterを作成して、このようなファイル内のデータのインデックスをデスクトップサーチが作成できるようにする必要がある。また、Microsoft自身がOutlook 2007で行っているように、デスクトップサーチ機能をアプリケーションに組み込むこともできる。サードパーティーのアプリケーションは、OLE DBプロバイダを利用するとデスクトップサーチのインデックスをクエリできる。また、Microsoftは、検索ボックスをアプリケーションのインタフェースに組み込む最適なアプローチを規定したスタイルガイドラインを公開している。

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