マイクロソフトの「Silverlight」、その詳細が明らかに(2/3 ページ)

» 2007年06月25日 09時12分 公開
[Greg DeMichillie,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 Microsoftは市場シェアの獲得に向けて、Silverlightに2段階のアプローチを採用している。同社はまず最初のリリースではインターネットビデオに照準を絞り、続いて、より完全な機能を搭載する開発者向けプラットフォームを提供する計画だ。

目指すはユビキタス

 YouTubeやMySpaceなどのサイトの人気とともに、インターネットビデオはFlashの大規模なインストールベースにおける重要な要素となっている。一部の統計によると、インターネットに接続されたコンピュータのうち98%には動画対応のFlashがインストールされており、そのうち55%以上が2006年6月にリリースされた(つまり、リリースから1年足らずの)最新版を利用している。

 MicrosoftはSilverlight技術により、この流れに加わろうとしている。主にインターネットビデオにターゲットを据えたSilverlight 1.0は、現在β版が提供されており、最終版は2007年夏のリリースが予定されている。

 Silverlight 1.0は、VC-1でエンコードされた動画をストリーミング/再生するための環境を提供する。VC-1は当初Microsoftによって開発され、その後、米国映画テレビジョン技術者協会(SMPTE)に提出され、業界標準として採用されたビデオコーデックだ。VC-1はMicrosoftのWindows Media Video(WMV)をベースとしたコーデックで、Blu-RayとHD-DVD両方のディスクで採用されている。

 Silverlight 1.0では、オーディオや動画のストリーミング/再生だけでなく、開発者はXML Application Markup Language(XAML)を使って、各種のユーザーインタフェースエレメント(ナビゲーションコントロールなど)を作成し、その動作をJavaScriptを使ってカスタマイズできる。またグラフィックデザイナーはMicrosoftが新たにリリースしたグラフィックデザインツールパッケージ「Expression Studio」を使って、アニメーションも含め、各種のユーザーインタフェースエレメントをXAMLファイルとして作成できる。開発者はその後、そうしたXAMLエレメントをVisual Studioにインポートし、バックエンドシステムへの接続など、そのアプリケーションの残りの要素を実装するためのコードを記述する。

 Silverlightの発表の席では、パートナー数社がSilverlightベースのWebサイトを披露した。米Major League Baseball(MLB)はSilverlightをベースとしたWebサイトのデモを行った。このサイトでは、登録ユーザーは大リーグの試合中継を幾つかライブで見られるほか、画面に試合のデータを重ねて表示したり、高解像度のフルスクリーンディスプレイに切り換えたり、友人とライブでチャットを楽しんだりできるようになっていた。またNetflixは、Silverlightをベースとしたインターネットのビデオオンデマンドサービスのデモを披露した。ユーザーはライブラリから選択した映画をほとんどまったく遅延を感じることなく再生でき、チャプターコントロールをオーバーレイ表示したり、仲間のユーザーを招待して同時に同じ映画を楽しんだりもできるというものだった。どちらのデモも、「Silverlight(ついでに、Flashもだが)を使えば、従来のHTMLやAsynchronous JavaScript and XML(AJAX)と比べて、いかにインタラクティブなWebアプリケーションを作成できるか」を如実に物語っていた。ただし、いずれも、完全なサイトというよりはプロトタイプ段階にとどまっており、リリースや一般公開の予定は発表されていない。

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