日銀の第3次利上げ時期を占う――選挙と金融政策の関係景気探検(1/2 ページ)

4月の景気動向指数データは、年が明けてからのもたつき局面をそろそろ脱出することが示唆されている。そうした中、日銀の第3次利上げが注目されている。

» 2007年06月26日 07時00分 公開
[景気探検家・宅森昭吉,アイティセレクト]

 4月分の鉱工業生産指数・速報値は前月比0.1%減と2カ月連続の減少となった。1〜3月期に6四半期ぶりの前期比減少を示した後も、もたついたかたちだ。IT関連の在庫調整や米国経済の減速の影響が出たものとみられる。

 経済産業省は、4月分では2月分からの「緩やかな上昇傾向にある」という判断を3カ月連続して継続した。製造工業予測指数見通しが前月比1.5%増加だったが、このベースの実績は前月比1.5%と予測どおりだった。製造工業予測調査対象外のものが弱かったことになる。また、旧季節調整方式(X-11)で計算すると、4月分の鉱工業生産指数・速報値の前月比は0.8%と4カ月ぶりの増加となった。総じてみると4月分の生産指数はそれほど悪くない印象だ。

 4月分の景気動向指数・一致系列採用データでは生産関連データの多くがプラス符号になる見込みで、一致DI(景気判断指数)は4カ月ぶりに景気の分岐点50%超になることが確定した。年が明けてからのもたつき局面をそろそろ脱出することを示唆するデータと言えよう。景気は多少のもたつきはあっても、08年にかけて拡大局面が続きそうである。

 4月分の完全失業率が3.8%と9年1カ月ぶりに3%台に低下した。フィリップス曲線的な考えからすると、まだ前年比若干マイナスが続く消費者物価指数にも、そろそろ上昇圧力がかかってきそうだ。

 そうした中、日銀の第3次利上げが注目されてこよう。時事通信は水野温氏日銀審議委員に単独会見を5月21日に行った。『金融財政』(5月28日号)によると、記者の「市場では3次利上げの時期に関して『参院選前は困難』との見方があるが、いつ頃を考えているのか」という質問に対して、水野審議委員は「個人的な考え」としつつ、次のように述べている。

 「6月後半から7月、これから1、2カ月でもう少しクリアな内外経済の見方ができるようなデータや環境が整ってくるのではないか。(中略)政治日程と金融政策の関係では、参院選の前か後かという議論があるが、後になると利上げはなぜしやすくなるのか、私にはよく分からない。政治環境を含めて予断を許さないし、選挙と金融政策をリンクさせた場合、一つの指標に政策をリンクさせる以上に、非常に説明責任を果たしづらい政治日程はできる限り排除して考えたい。メディアもできる限り雑音を入れないでほしい」

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