特売情報は生声に乗せて音声一斉配信システム導入事例(1/2 ページ)

小売企業にとって、顧客へのプロモーション戦略は以前にも増して重要になっている。新しい情報サービスの1つを探る。

» 2007年06月29日 07時00分 公開
[大西高弘,アイティセレクト編集部]

導入前の課題

競争が激化する業界の中で、新しい販売促進戦略を求めていた。


導入後の効果

顧客に音声情報を一斉に配信する仕組みをASPサービスで利用。顧客の反応も良好で、今後の新しい販促戦略の一つとして利用できるめどがついた。


ありきたりな手法では差別化できない

 CFSコーポレーションは、関東、東海地域を中心にドラッグストア、スーパーマーケット、複合型店舗などをチェーン展開している。

「ハックドラッグ」「ハックエクスプレス」といった名称で260もの店舗を展開しているドラッグストア部門は経営の大きな柱。しかしこの業態は特に他社との競争が激しい。各社ともポイントサービスや特売といったイベントを打ち、顧客の争奪を繰り広げている。

 顧客に会員になってもらい、カードなどを発行して囲い込む戦略なども、いまやどこの小売企業もやっている。「10パーセントOFF」「今日だけポイント5倍アップ」といったサービスで集客を高め、売り上げアップを狙う戦略も当たり前の販促手法として使われている。

 売り上げをアップさせていくにはとにもかくにも店舗あたりの集客力が重要になってくる。近隣に複数の同業店舗が乱立している場合などもそうだ。他社の店舗ではなく、「ハックドラッグへ行こう」と行動してくれる消費者を増やすにはどうすればいいのか。ありきたりな手法ではなく、新しい手法はないものか。

音声配信サービスをASPで手軽に

 CFSコーポレーションのドラッグストア事業本部販売促進部の販売促進チーム長の川崎昭仁氏も日々販売促進の新しい手法を探していた。そんな中出会ったのが、プレミアグローバルサービスが提供する「voiceREACH」である。この製品は音声の一斉配信を低コストで行うASPサービスだ。あらかじめ用意していた音声データを一斉に配信、つまり電話をかけるシステムで「voiceREACH」は初期費用は一切かからず全国一律料金、かけた時間分だけ課金されるというものだ。

音声一斉配信サービスの概要

 「いろいろと販促手法を探している中で、このサービスを見つけました。ASPで価格設定も手ごろでした。ITを活用するといっても、効果がどれだけ上がるか分からないものに、いきなり多額の投資はできません。まずは『ハックドラッグ』の会員様の一部の方々に試してみようということになりました」と川崎氏は語る。

販売促進チーム長 川崎昭仁氏

 家庭の電話に特売情報などの直接メッセージが配信されるというマーケティング手法は、米国などではよく使われている。しかし日本ではそれほどポピュラーではない。ASPサービスであることも試してみようといういいきっかけになったようだ。同社ではもちろん顧客の携帯電話やパソコンにメールを配信する情報サービスはすでに行っている。音声による情報サービスはある意味で「古くて新しい手法」という解釈もできるかもしれない。

 「高齢者や普段メールなどは活用しない方も会員に多くいらっしゃいます。ご家庭の電話や携帯電話に音声で直接特売情報を知らせれば、新鮮で集客力アップにつながるはずだと感じました。少なくとも試してみる価値はあると」(川崎氏)

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