Office Systemで業務システムのフロントを改革マイクロソフト×SAP

使い慣れたMicrosoft Officeを業務システムのフロントエンドに――マイクロソフトは、Office Systemで業務システムのインタフェースが抱えていた問題の解決に挑む。ERPのリーディングベンダーSAPとタッグを組み、Officeと業務システムのシームレスな連携を可能にしようとしている。

» 2007年07月06日 10時00分 公開
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ユーザーの使いやすさを追求した「the 2007 Microsoft Office system」

photo マイクロソフトインフォメーションワーカービジネス本部IWソリューションマーケティンググループ エグゼクティブプロダクトマネジャーの西岡真樹氏

 「Office製品の機能アップグレードについてユーザーアンケートを行うと、9割のユーザーはすでに搭載されている機能を望んでいました。最新版のOfficeでは、豊富な機能をより簡単に見つけやすくするインタフェースが必要でした」

 マイクロソフトIWソリューションマーケティンググループ エグゼクティブプロダクトマネジャーの西岡真樹氏は、ユーザーのOffice製品の利用の現状をこのように話す。

 ここでいう機能を見つけやすいインタフェースとして生まれたのが、2007 Office systemに新たに搭載されたリボンインタフェース。このリボンインタフェースでは、メニューからプルダウンで機能を選択する必要がない。作業ごとに必要なツールが自動的に表示されるので、機能を探す必要がなくなりクリックの回数が減るのだ。例えば、Word文書の図を選択すると、図を編集するための機能がリボンに自動表示される。

 2007 Office systemは特長として、このようなユーザーインタフェースの改善による使い勝手の向上にフォーカスが当たりがちだ。しかしOfficeの本質的な進化は、企業の業務システムのフロントエンドツールとしての存在が大きいと西岡氏は言う。普段使い慣れたOffice Systemが、基幹系業務システムのクライアントとなるというのだ。

必須の“文房具”からもっと便利なクライアント環境に

 従来であれば基幹系の業務システムには、専用のクライアントアプリケーションが提供されていた。専用クライアントは、基幹系の全ての機能を網羅し、使えるようにするために非常にコマンドが多い。しかし、社員の各人が使うコマンドはほんの一部であったり、専用のインタフェースに慣れるまでに時間がかかるなど不都合があった。

 これに対し、現在多くの基幹系業務システムのフロントエンドに使われているのが、Webベースのクライアント環境だ。Webベースなので、ユーザー環境にはWebブラウザさえあれば誰でもすぐに利用できる。とはいえ、Webブラウザという環境の制約もあり、レスポンスが遅かったり、たくさんの数値データを入力するといった繰り返し作業には、必ずしも使い勝手がいいとは言いにくかった。

 そこで、従来の専用クライアントとWebベースのクライアント双方の利点をもつ、第三のフロントエンドとしてマイクロソフトのOffice Systemが注目されている。

photo Office Systemを業務システムのフロントエンドに。西岡氏は「Officeは文房具から脱却する」と話す

 「専用クライアントは基幹システムに対して専用で設計されるため便利なのですが、あらゆるERPシステムに1つのクライアントで対応しようとすると、多くの機能を搭載する必要があり、複雑なファットクライアントが出来上がってしまいます。逆にWebベースの場合には、導入の敷居は低いものの繰り返し処理やアイテムの一括選択など、ちょっとした便利な機能が簡単に利用できない不便さがあります」と西岡氏。

 Office Systemであれば、多くのユーザーがPCに導入済みであり、新たにインストールする必要はほとんどない。さらに、Webブラウザによる使い勝手の制約も存在せず、ユーザーに新たに使い方を教育する必要がないのだ。

 「ERPシステムとシームレスに連携することで、Office Systemが便利な“文房具”から脱却して、ビジネスのためのフロントエンドツールとして活用できる環境になります」(西岡氏)

 実際、業務システムにデータを入力する際には、いったんExcelなどの使い慣れたツールにデータを入力し、それをカットアンドペーストして業務システムに入力するといった作業をしているユーザーは多い。そうであるならば、Excelから直接業務アプリケーションを利用できれば大幅に無駄な手間を省くことが可能となる。

SAPとOffice Systemのシームレスな連携

 この使い慣れたOffice Systemを、ERPシステムとして大きな実績のあるSAPと融合させ、ビジネスシーンでユーザーがより使いやすい環境を提供する取り組みが進んでいる。SAPとマイクロソフトが共同で推進する「Duet」だ。

 単なるERPとOffice Systemとの連携であれば、これまでにも多数の例がある。例えば、多くのERPのクライアント画面には、Office Systemとの連携機能起動ボタンなどが準備されている。しかしこれらは、そのときに表示しているアプリケーションの画面情報をCSV形式などのファイルに吐き出すといったものがほとんど。吐き出されたファイルを読み込んで、Excelなどのツールが自動的に立ち上がるため「連携機能」と称しているだけだ。

 この方法では、仮にCRMシステムで顧客情報にアクセスしていた際には、連携機能によりクライアント環境に顧客情報が配布され、個人情報が拡散してしまうリスクにつながる。さらに会計やサプライチェーンなどの場合には、いったんダウンロードしてデータをExcelなどで参照するので、そこで扱われているデータは最新なものではない。リアルタイムな在庫管理が必要な場合には、この方法ではデータの整合性を確保できない。

 このようにデータだけの連携では、いったんOffice Systemに操作が移行すると、ERPのワークフローと分断されてしまう。Office Systemで操作した結果を、なんらかの手間をかけてERPに戻してあげなければ、情報を更新し次のアクションに移ることも、ほかのユーザーと情報を共有することもできないのだ。

 SAPとOffice Systemの連携は、これらの「擬似的な連携」とは異なる。業務システムを利用しているユーザーが意識して、ここから先の作業は使い慣れたExcelを使おうと考え連携機能を起動するのではない。

 例えば、日常的に利用しているOutlookでメールを読んだり、スケジュールを確認する作業から自動的に必要なERPの業務アプリケーションと連携する。そして、多くのデータを参照したり、計算結果をグラフで表現したいのであればExcelが、レポートなどのドキュメントを作成、編集するのならばWordが、フォームを使ってテンプレートから定型的な情報の入力が必要となればInfoPathが自動的に起動されるのだ。

 起動されるOffice Systemは、SAPとシームレスに連携しているので、当然ながらデータをERPに意識的に反映させるといった手間は発生しない。Excel上での作業は、リアルタイムにSAPのデータベースに反映されることになる。

 「複数のOffice Systemを連携して利用できます。自動的に最適なツールに切り替わるので、ユーザーはどのツールを使うべきかを意識する必要はありません。冗長な操作をできるだけなくし、さらにユーザーの権限応じたアクセスコントロールも実現できます」と西岡氏。

photo グループウェアの「Outlook」から業務システムへシームレスにアクセスすることができる。ユーザーはバックエンドの業務システムを意識することなく使用できる

 特にDuetでは、SAP上のビジネスシナリオに沿った処理がOutlookなどからシームレスに利用できるようになっている。例えば、有給休暇を取得する際には、グループウェアのスケジュール管理機能で有給休暇の予定をまずは入力するだろう。同時に休暇管理システムを起動し、休暇の申請を行うという2つの処理を行う。申請からワークフローが起動され、上司の承認がなされ、正式に休暇が認められた連絡がメールでやってきて一連の処理が完了する。

 これらの操作が、すべてOutlook上で完結するのがDuetだ。Duet機能が追加されていれば、通常のOutlookの画面の右にDuetアクションペインが表示され、SAPとの連携の状況や必要な操作がここからすべて直接利用できる。アラートやレポートをメールで受け取ったら、そこからOutlook上で次のアクションを実行でき、必要に応じExcelやInfoPathなども起動される。例えば、SAP ERPやSAPのBI(BW)レポートを受信し、権限に応じExcelですぐに編集するなどが可能となるのだ。

photo 受け取ったアラートのメールからシームレスにSAPのレポートへアクセスが可能

 マイクロソフト エンタープライズパートナービジネス本部 パートナーテクノロジーソリューション部 SAP認定 R/3テクニカルコンサルタントの星野隆之氏は、さらにSAPとマイクロソフトの協業による効果を次のように説明する。

photo マイクロソフトパートナーテクノロジーソリューション部 SAP認定 R/3テクニカルコンサルタントの星野隆之氏

 「Duetは、必ずしもオンラインでなければ使えないわけではありません。オフラインの状態でも使えるのが、1つの大きな特長です。Outlookからの連携では、SAPのデータを適宜キャッシュとしてセキュアに手元に持つことで、オフラインの状態でも一連の操作が行えます。そして、オンラインになれば最新のデータと同期しリアルタイムに処理が継続できるのです。これらの機能は、SAPとマイクロソフトの強力な協力関係があってこそ実現できるものです」

 スクラッチで開発してExcelとSAPを連携させることもできるが、認証やアクセスコントロールまで考慮するとかなり難しい作業となる。Duetは現状ではできあがった一連のビジネスのシナリオを実現しているものだが、さらにこれは今後開発のフレームワークにもなるという。シナリオに当てはまる機能をすぐに利用したければ既存のDuetを、さらに細かいビジネス要求に対応させるには両社のSIパートナーなどから提供されるソリューションを用いることもできるのだ。

 連携の開発には、SAPとOffice SystemがもつWebサービス機能が利用される。さらにSharePoint Serverを活用することで、ERPを超えたワークフロー機能を独自に加えたり、他のシステムとの連携や情報のセキュアな共有も容易に実現できる。

 2007 Office systemの使いやすく高度なユーザーインタフェースも、単独で利用している状態では便利な文房具的ツールの域を超えた活用はなかなか難しい。豊富な表現力を最大限に生かすには、SAPとのシームレスな連携で現場のユーザー作業効率を大幅に向上してはじめて、その効果が発揮できるということになるだろう。

もちろんSAPとOffice Systemの連携は、Duetだけではない。多くの両社パートナー企業がSAPとOffice Systemをシームレスに連携させるソリューションを展開している。

詳細は7月24日(火)に開催される「SAP BUSINESS SYMPOSIUM'07」にて、その目で確かめて見てはいかがだろうか。

SAP BUSINESS SYMPOSIUM'07 開催決定!
テーマ ビジネスの源泉、それは現場力
〜見える、見せる、そしてつながる〜
注目のセッション ●パネルディスカッション : 先進国中最下位に甘んじる日本の労働生産性
 〜ITはニッポンの「現場力」を救えるのか?〜
(11:10〜12:00)
 ・アドビ システムズ株式会社 マーケティング本部 本部長 伊藤かつら氏
 ・マイクロソフト株式会社 執行役 専務 エンタープライズビジネス担当 平井康文氏
 ・SAPジャパン株式会社 シニアバイスプレジデント パートナー&マーケティング統括本部長 
  安田誠氏
 ・モデレータ:ITmediaエグゼクティブ 編集長 浅井英二

●Microsoft OfficeとSAP:Duetの成功体験とこれから(14:15〜15:05)
 これまでのプロジェクト事例を交えながら、Duetソフトウェアを活用することで、社員の情報活用(意思決定支援)、コンプライアンス遵守、さらには業務のセルフサービス化(効率化)、コスト削減に貢献できるかをご紹介いたします。

●the 2007 Microsoft Office system が実現する ERP を感じさせないユーザー環境(15:20〜16:10)
 SAP社のERPのフロントエンドに Excel 2007, InfoPath 2007 といった2007 Office system を採用したソリューションにより、 複雑になりがちな ERP のインタフェースを感じさせない、まったく新しいユーザー環境をご紹介します。

日時 2007年7月24日(火)10:00-17:15
会場 セルリアンタワー東急ホテル(地図)
定員数 700名
参加費 無料


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提供:マイクロソフト株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2007年8月6日