ラニーニャ発生で消費はどうなる?――天候と景気の不思議な相関関係景気探検(1/3 ページ)

日銀短観の内容は、発表時の日銀がある日本橋本石町の天気と相関性が高いようだ。また、ラニーニャ現象の発生は景気にどう影響するのか?

» 2007年07月11日 07時00分 公開
[景気探検家・宅森昭吉,アイティセレクト編集部]

 7月2日に発表された6月調査の日銀短観の「最近」の業況判断DI(「良い」から「悪い」を引いた割合)の動きをみると、大企業・製造業の業況判断DIは23のプラスとなり、前回の3月調査と同水準になった。

 内訳を見ると、素材業種では、価格転嫁ができた石油・石炭製品などが改善したものの、それができない鉄鋼や非鉄金属などでは交易条件が悪化したようだ。そのため素材業種全体では幾分悪化した。一方、加工業種は、海外の需要が良かったことなどで造船・重機や一般機械などが改善したことが、米国の景気減速の影響を受けた自動車の悪化を打ち消し全体としてやや改善した。

 大企業・非製造業の業況判断DIはプラス22と、こちらも3月調査と同水準だった。

 内訳をみると、6月の給料からの住民税増税が実施されることへの懸念、年金問題への懸念が高まっていることなどで小売や対個人サービスが悪化した。一方、世界経済の堅調さを受け荷動きが活発化している運輸などが改善した。

 中小企業の業況判断DIは3月調査より製造業が2ポイント、非製造業は1ポイント悪化した。

 この結果、全規模・全産業の業況判断DIはプラス7と、3月調査のプラス8から1ポイント悪化し、景気が足元もたついていることを裏付けた。

 07年度上期の経常利益や売上高経常利益率がほとんどのカテゴリーで悪化した。交易条件悪化などが原因であろうが、このあたりが、業況判断のもたつきにつながっていよう。

 大企業・製造業の「先行き」業況判断はプラス22と「最近」より1ポイント悪化の見通しだ。非製造業はプラス23でこちらは1ポイントの改善予想だ。

 なお、中堅企業・中小企業と製造業・非製造業の組み合わせ4つのカテゴリーでは中堅・製造業以外の3つの組み合わせで「先行き」業況判断は「最近」より若干悪化の見通しである。

 全規模・全産業では1ポイントの悪化見通しである。

 不思議なことに短観の内容は発表時の日銀がある日本橋本石町の天気と相関性が高いようだ。

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