OSの仮想化技術では、VMware、XenSource、Microsoftなどが抜きんでた存在として認知されている。すでに多くの顧客を持つVMwareは、その影響力をいっそう高めている。
米Forrester Researchが最新の調査報告書を発表し、向こう数年間はVMwareがx86サーバ仮想化市場で優位さを保つが、Microsoftの「Windows Server 2008」やXenSourceとの競争はさらに激化するだろうと予測した。
7月9日に発表された報告書によると、Microsoftが間もなくリリースするサーバ製品やXenSourceの「XenEnterprise」スイートには、VMware製品と同じ機能が一部搭載されている。しかし、VMwareを業界第一の仮想化技術プロバイダーの立場から追い落とすには、まだ数年はかかるという。
同一のハードウェア部品上で複数のオペレーティングシステムを動作させる仮想化は、大規模な実装例がまだ少ない。しかし、現在51%の北米企業が利用していると、同調査報告書を執筆したフランク・ジレット氏は述べている。
VMwareは1998年の創立以来、「ESX Server」hypervisor製品や最近のVirtual Infrastructure」スイートなどを武器に、x86サーバ市場を支配してきた。
カリフォルニア州パロアルトに拠点を置くVMwareは、これまでの経験を踏まえて、単なるhypervisor技術ベンダーから「仮想インフラストラクチャベンダー」への転身を図ろうとしていると、ジレット氏は書いている。また、VMwareはITにおけるプレゼンスを高めるため、ハードウェア自体に同社のhypervisor技術を実装するOEMを探していると、Forresterのアナリストらは見ている。
VMwareおよび親会社のEMCは、VMwareの株式の約10%を新規公開(IPO)することで、こうした計画を実行に移すつもりだ。IPOは、今年の夏ごろに行われる予定。7月9日には、IntelがVMwareに2億ドル以上を投資し、普通株式のおよそ2.5%を取得すると発表した(関連記事)。
仮想化市場におけるVMwareの覇権はしばらく続くと考えられるが、特にMicrosoftの「Windows Server 2008」や、VMware自身の「Viridian」hypervisor技術との競争は激しさを増すとも予想されている。
もっとも、Microsoftのhypervisorは2008年半ばまではリリースされない見込みで、それ以降の新しいバージョンも、さまざまな計画の遅れやアップデートにより、少なくとも2009年までは登場しない。したがって、Microsoftが仮想化市場に影響を与えられるようになるのは早くとも2010年からだと、ジレット氏は指摘している。
オープンソースのXenプロジェクトから生まれた企業であるXenSourceは、VMwareよりはるかに規模が小さく、やはり2010年ごろまでは同社の手強い相手になることはないだろう。しかし、Microsoftとの提携によって、Windows製品との互換性および相互運用性を手にしたXenSourceは、今後数年の間にVMwareとも競合できる力をつけると思われる。
XenSourceとVMwareの技術は非常に似通っているが、価格は前者の方がずっと手頃だと、Forresterは述べている。
仮想化市場では、自社のマイクロプロセッサアーキテクチャに同技術を実装し始めた、IntelやAMDの存在感も大きくなりつつある。VMwareのソフトウェアは「Intel Virtualization Technology(Intel VT)」や「AMD Virtualization(AMD-V)」を活用しているが、他社も同様にこれらのチップ技術を用いて、よりすぐれた仮想化製品を開発できるのだ。
Microsoftおよび他社の仮想化製品を退けるために、VMwareはESX Server hypervisorを無料で提供する可能性もある。
Forresterの調査報告書は、他社がVMwareの製品に肩を並べるようになるのは早くとも2〜3年後だが、VMwareもその間に市場でのプレゼンスを拡大させるだろうと結論している。
「数千もの顧客を抱え、10億ドル以上の売り上げがあるVMwareは、今や新興企業の域を超えて大手の仲間入りを果たした。今年後半にEMCがVMware株式の10%を新規公開すれば、その知名度はさらに上がるだろう。Microsoftのソフトウェアエコシステムは確かに巨大だが、VMwareはサーバ仮想化市場において、決定的とも言える充実したパートナーチャネルを築いている」(ジレット氏)
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