ソフトウェアをリリースしても、はじめのうちはユーザーが少ないので、他人からのバグ報告などもほとんどこないでしょう。こういうときこそトラッキングを積極的に活用していきましょう。
まだプロジェクトが始まったばかりで、自分一人が開発者だったりすると、面倒くさくてトラッキングを使わずにどんどん作業を進めてしまうことがあります(わたしがそうです)。しかし、こういうときにこそ、トラッキングを積極的に利用するべきです。例えば、作り込みたい機能やこんなのあったらどうかな、と思うことがあったら、すべて「Feature Request」(機能要求)に放り込んでしまうのです。また、「後で直そう」と思ったようなバグも、「Bugs」に登録してしまいます。こうすることで、ふと思いついたようなことも忘れずに済むようになります。つまり、メモとしてトラッキングを使ってしまうわけです。バグがあったら取りあえずトラッキングに登録する習慣をつけましょう。
登録したトラッキングアイテムは、実装したり解決したりしたときにCloseすることになります。例えば、バグを修正してCloseするときは、トラッキングから「Bugs」を選択し、バグのリストからCloseするバグを選択します。そして「状態」を「Closed」に、「解決」を「Fixed」に変更します。どのように変更したかをコメントに書いて、「修正を反映」をクリックすると修正が反映されます。逆に、報告されたバグが実はバグではなく報告者の勘違いだった、などというときは、「解決」を「Invalid」にして、これまたきちんとコメントを書いてCloseしましょう。
バグを幾つかCloseしたら、リリースしてしまいましょう。早めにしょっちゅうリリースすることで、ソフトウェアがユーザーの目に触れる機会が多くなり、ユーザーが増えてよいソフトウェアに育っていくかもしれません。
今回まで説明した手順で、「開発」→「リリース」→「フィードバック」→「開発」といったループをsf.jpを使って実現することができます。このループを継続することによって、よりよいソフトウェアが産まれると思います。「早めにリリース、しょっちゅうリリース」の原則に従って、まだまだ未完成だと思ってもどんどんリリースしていき、多くのユーザーに利用してもらって、フィードバックをたくさんもらえるようにしましょう。
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