バンダイナムコは挑む――開拓! ブログを使って主婦層に新ビジネスを(後編)Webマスターが変える 企業サイトの「秘力」(1/2 ページ)

主婦層を集め、新ビジネスを企画――すでに「みのりちゃん」でも手ごたえを得て、単なるゲーム会社という企業イメージの刷新を図る。

» 2007年07月27日 06時00分 公開
[岡崎勝己,アイティセレクト]

アクセス数増からリピーター増に照準を変える

 読み聞かせ絵本の販売促進を目的に2005年11月に開設された、バンダイナムコ ゲームスの「きずなstyle」((7月23日の記事参照))は、幼児を抱える主婦層に、絵本を通じて(バンダイナムコの)ファンになってもらうことも狙っている。さらに、その主婦層に対する新ビジネスの展開も視野に入れている。

 従って、「きずなstyle」そのものに収益モデルはない。新事業を立ち上げ、成功させる可能性を探る、実験的な試みといっていいだろう。

 だが、企業サイトである以上、アクセス数にも配慮することは求められた。社長室文化・教育事業推進プロジェクトのチーフディレクター、浜野孝正氏は当初、サイトを周知するため、あえてコスト負担が強いられるメール広告やバナー広告などに手を出した。その効果は確かに見られた。しかしながら、いずれも長続きしなかったという。認知度が高まった分、アクセス数は伸びたが、その大半が主婦向けのコンテンツに関心の薄い人たちだったからではないかと推測される。

 こうした経験を基に、浜野氏は目標を単なるアクセス増からリピーターの獲得へと切り替え、「コンテンツの質と量」を重視する方針に改めた。2006年5月の「きずなママレポーターblog」の追加((7月23日の記事参照))は、そのためでもあった。

アクセスする人の“質”を高める

 レポーターblogの開始を機に、「きずなstyle」に新たなコンテンツの掲載サイクルが生まれることとなった。月曜日に浜野氏の記事、火曜日から木曜日まではレポーターの記事、金曜日には一週間を総括するコメントを掲載するという具合だ。これでほぼ毎日サイトが更新されるようになり、読者の関心をWebサイトにつなぎとめる結果をもたらした。

 サイト内で紹介したブログへのトラックバックや、育児をテーマにしたサイトとの相互リンクも積極的に行っている。こうした、サイト運営にまつわる地道な活動は、着実に実を結んでいる。事実、アクセスを解析し、リンク元をたどったところ、ほかのブログからのトラックバックが増えていた。また、環境をテーマにしたサイトからのリンクといったように、意外な効果も確認されたという。

 「将来の事業展開を考えると、アクセス数の増加以上に、アクセスする人の “質 ”を高めることが重要だ。トラックバックや寄せられるコメントから、その条件を満たしつつあることを実感している」(浜野氏)

 子どもに悪影響を与えるととらえられてきたゲームを事業の中核に据えるバンダイナムコにとって、絵本事業への参入は「ハードルが高いものだった」と浜野氏。そうしたこともあって、「きずなstyle」の中では、バンダイナムコのロゴは最下段に “ひそかに”配置されている。こうして、初めてアクセスしてきた主婦に安心感を与えるようにしている。

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