差のつく仕事はここから始まる――「シャドーワーク」事始めワークスタイル変革(2/2 ページ)

» 2007年08月01日 06時40分 公開
[大西高弘,アイティセレクト編集部]
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隠れプロジェクトとの違い

 シャドーワークというと、「あ、隠れプロジェクトのことですね」と反応する人がいる。しかし、両者には大きな違いがある。シャドーワークはプロジェクト単位で起こることもあるが、それだけに限ったことではない。隠れプロジェクトはプロジェクトが終わるとメンバーは散り散りになることが多いが、シャドーワークは継続的に行われるものだ。

 インフォーマルな活動だが、仕事に密接に関連した動きで、一種のワークスタイルだといえる。隠れプロジェクトはワークスタイルとは表現されにくいことを考えても、両者には根本的に種類の違うものだといっていい。

 経営者からすれば、その活動が逸脱したものにならない限り、大いにシャドーワークを奨励したいところだろう。できれば、意識的にこうした活動を活性化させるマネジメントの体制を作りたいぐらいだ。しかしインフォーマルな活動をフォーマルな場で認めるというのもおかしな話だ。どうすれば、組織内でのシャドーワークを活発にすることができるのだろうか。

トップなら分かるワークスタイル

 単行本「シャドーワーク」の著者の一人で、フライシュマン・ヒラード・ジャパンのパートナーで、シニアバイスプレジデントの徳岡晃一郎氏は次のように語る。

 「私が取材をした企業だけでも、実際のビジネスでシャドーワークが生かされている事例はかなりあります。では、その事例の要素だけをならって、シャドーワーク的な仕事の仕方をマネジメントしても意味がない。会社がお仕着せでインフォーマルな集団を作っても何も進んでいかないでしょう。問題はワークスタイルなんです。積極的にインフォーマルな場で社内外のリソースを呼び込み、自由な発想から自分たちのフォーマルな場での仕事を見つめ、新しい切り口の取り組みを実行する、こういうことができる人とできない人が企業の組織の中でははっきりと分かれているのです」

徳岡晃一郎氏

 シャドーワークはあくまで自然発生的に生まれなければならない。その自然発生をうながすのは何かといえば、やはり、シャドーワークに適した働き方、考え方をしている人物が鍵を握っていると言える。そうした人物は30代から40代前半あたりの人なのだろうか。これに対して徳岡氏は次のように語る。

 「年齢はそれほど関係はないでしょう。若い人材でも自由な発想で社内外の人間関係を作れない人もいます。それは若さゆえの経験不足から来ることもありますしね。50代以上のベテランの人が意外とシャドーワークを自然とやっているケースもあります。ただ経験が豊富であれば、シャドーワークが必ずできるということもないのです。機会があれば、経営トップにシャドーワークについて聞いてみればいいと思いますよ。言葉そのものは知らなくても、説明をすれば『そんなこと、自分はずっとやってきたよ』という方も多いと思います」

 シャドーワークは、組織同士の差をつけるものであり、また、個人同士の差をつけるワークスタイルだともいえるだろう。

月刊アイティセレクト」2007年9月号 特集「シャドーワークを使いこなすプロデューサー型社員を目指せ」より)

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