徳岡氏によれば、「プロデューサー型」とそれ以外のタイプは、年齢やキャリアで違ってくるものではないという。
「入社10年の人、2人を比べても、『プロデューサー型』と『御用聞き型』に分かれます。仕事の経験が長ければ自然と『プロデューサー型』になれるのではないわけです。この2つのタイプでパフォーマンスを比較してみると、『プロデューサー型』の人の成果は『御用聞き型』の人のそれよりもはるかに高い。『社内調整型』の人に対しても同様です。社外の人脈、リソースを活用しない、あるいはできない人は問題解決のレベルも違うし、スピードも違うわけです」
「プロデューサー型」の人の強みは社内外の人脈、リソースを活用できる点だ。課題をどこからか見つけ出し、常にそうしたリソースと連携しながら問題解決の最適解を探っているということなのだろう。
では「社外嗜好型」はどうなのだろう。徳岡氏は次のように話す。
「このタイプはバランスを欠いてしまう。社外の人脈は豊富だが、社内の人脈がないので、何かをしようとすると社内での調整がうまくいかない。社内での人脈が少ないということは、他の部署の人間の仕事に対する理解度が足りないことにつながるわけです」
社外の人脈だけを頼りにしているだけでシャドーワークを行っているつもりでも、いざ影から光の当たる場所でパフォーマンスしようとすると組織のさまざまな壁に突き当たるということだろう。
「どんな組織でも部署ごとに壁があります。上司の壁、同僚の壁などがまったくない組織などありえないでしょう。そして、自分自身も壁の中にいるわけです。こういう人は意外と多くて、他部署の仕事に興味も理解も示さないで、勝手に解釈して馬鹿にしたりするわけです。こういう人はシャドーワークを良い結果に結びつけることはできません」(徳岡氏)
上司の壁は中でも大きなプレッシャーになる。
特に、部下の行動に対して厳しくチェックするタイプはシャドーワークにとっては難敵だ。シャドーワークは組織内においては、各部門を横断して人的リソースを活用するし、組織外においては、契約書を交わして外部のリソースとミーティングなどをするわけでもない。あくまで、インフォーマルな集団として、スタートは「手弁当」だ。プロデューサー型社員というのは、プロデューサー的役職についている人物とは限らない。一般に語られるところのプロデューサーは予算を握ってプロジェクトを進めるわけだが、シャドーワークでのプロデューサー型社員は最初が十分な予算を確保して動いているわけではない。
敵はそこを突いてくる。「そういうことなら、彼に手伝わせるわけにはいかないな」「外部の人間にどこまで社の情報を渡しているんだ」などと難癖をつけてくる。
シャドーワークは、参加してもらう社内の人材に上司で秘密で付き合わせるものでもないし、外部の協力者に極秘情報を漏らしてまで進めるものでもない。
そういう意味で社内調整ができない「社外嗜好型」は継続的にシャドーワークを維持していくことができないケースが多い。
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