SMBストレージ市場攻略へ――HPが取り組み強化

HPのストレージ部門StorageWorks製品本部は、SMB市場攻略に向けた取り組みを強化している。アジアパシフィック&日本地域担当StorageWorks製品本部のジム・ワグスタッフ副社長兼GMにSMB戦略を聞いた。

» 2007年08月03日 17時20分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 米Hewlett-Packardのストレージ部門であるStorageWorks製品本部は、SMB(中堅・中小企業)市場攻略に向け取り組みを強化している。最近、日本市場にも「StorageWorks All-in-One Storage System(AiO)」「D2D120 Backup System」「DAT160 テープドライブ」など、中小企業をターゲットにした新製品を矢継ぎ早に投入し、製品ポートフォリオの充実を急いでいる。

ジム・ワグスタッフ氏 HPアジアパシフィック&日本地域担当StorageWorks製品本部のジム・ワグスタッフ副社長

 「ゲームへのチケットを手に入れたようなものだ」――HPアジアパシフィック&日本地域担当StorageWorks製品本部のジム・ワグスタッフ副社長兼ゼネラルマネジャーは、SMB攻略に向けた製品が整ってきた現状をこう表現する。

 SMB戦略としては、新たに投入した製品でビジネスの核を築き、ポートフォリオとソリューションベースでビジネスを拡充してきたいという。同氏は、昨年までDellで中国や香港などのサーバストレージ事業のゼネラルマネジャーを務め、EMCとのアライアンスの責任者を担当するなど、アジアでのストレージ事業にかかわってきた。

 「HPは、アジア太平洋でも高いブランド認知度があり、テクノロジー、サービス、ソフトウェアにおいてリーダーシップがある。HPのストレージ事業には大きな成長の機会がある」と話す。

 アジア太平洋地域は、新興国と発展国が混在する市場。戦術レベルでは各国で異なる対応が必要になるなど、SMB攻略には難しいかじ取りが必要になる。日本に向けては、SMBと言えど、高度なソリューションベースのアプローチが必要だと分析している。

一様にはとらえられないSMB市場

 HPがSMBに注力し始めたのは、市場の成長率がエンタープライズ市場に比べても高いからだ。日本を含むアジア太平洋地域では7.4%の年平均成長が予測されている。企業のニーズこそ、エンタープライズのそれと大差はないが、製品が価格的に妥当で、簡単に展開できることが攻略の鍵となるのは間違いない。

 だが、「マーケティングはSMBを1つのセグメントとしてとらえたがる傾向にあるが、業種業態、ITのレベルは非常に多様なのが現状。そこが難しいところだ」とワグスタッフ氏は言う。

 この課題に対応するものとなるのが、パートナー戦略だ。SMBは1つの商談の金額規模は小さいが、対象企業の数は多い。幅広いパートナーを通じて、顧客のストレージに対する理解度を高めてもらう必要がある。製品を売って終わりにならないためには、中小企業のビジネスを理解したコンサルティングも提供できる体制にならなければならない。

 そのために、HPでは、パートナーのトレーニングや認定、デモ機などに積極的な投資を行ってきたという。今後もプリセールスにおけるパートナーに対するHPのレスポンス時間を半減することを目標に、パートナーサポート要員の増員し、積極的な支援を行っていく予定だ。

 ワグスタッフ氏は、「今は製品というゲームへのチケットを手に入れたようなものだ。HPのソリューションやパートナー形態が差別化要因として効いてくるはずだ」と話し、今後の展開に自信を見せる。

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