Office 2008 for Macの発売が延期されたが、これはMicrosoftにとって深刻な兆候を示すとの見方もある。
米MicrosoftはMac OS X版「Office 2008」の発売を延期、早くても2008年1月半ばにずれ込むことになった。同社Mac事業部であるMacBUが8月2日に確認した(8月3日の記事参照)。
同社によると、これは米国版の場合で、米国外では「2008年第1四半期中」の発売となる。
この大幅な延期により、Mac向け製品を開発している主要メーカーの中で、Intel版への移行はMicrosoftが一番遅れることになる。現行のMac版Officeである「Office 2004」をIntel Macで使うには、AppleのRosettaエミュレーション環境で実行する必要がある。Appleは2006年1月に、PowerPCベースのMacからの切り替えに着手した(2006年1月11日の記事参照)。
この延期により、Office 2008 for Macの発売日は、2月27日に予定されている「Windows Server 2008」「SQL Server 2008」「Visual Studio 2008」の発売日に近づくことになる。Microsoftはこれを、同社史上最大規模のグループ製品発表と位置付けている。
マスコミにあてた電子メールでMac事業部ジェネラルマネジャー、クレイグ・アイスラー氏は「社内では2007年12月半ばのRTMを目標に突き進んでいる。製品が完成すればユーザーに大変喜んでもらえると確信している」とコメントした。
アイスラー氏は品質を強調しているが、発売延期はMicrosoftにとって深刻な兆候を示すものだと見る向きもある。
「これはちょっとひどい話だ。1984年以来Mac向けソフトを出荷し続けてきた会社なのだから」と話すのは、JupiterResearchの副社長兼リサーチディレクター、マイケル・D・ガーテンバーグ氏。
「何が問題なのかを問い掛ける必要がある。これはMicrosoftにおけるMacの状況を物語るものでもある。Macは戦略的あるいは必要な目標ではないということだ」。こう指摘する同氏だが、Office for Macのシリーズ製品では、かなりの収入があると言い添えた。
それでも「Appleから見れば、必ずしもたいしたことではない」と同氏は言い、Windows版最新バージョンであるOffice 2007との互換性が必要なMacユーザーは、仮想化またはAppleのBoot Campのデュアルブート機能を使ってOffice 2007を実行できると指摘した。そうなれば、Windowsのライセンス販売収入が増え、Microsoftにとっての恩恵は増すとガーテンバーグ氏。
発売延期により、無料スイートの「OpenOffice」やAppleの「iWork」など、Microsoft Officeに代わる「代替製品を求めるMacユーザーはさらに増えるかもしれない」と同氏は言い、「Office 2007が世界に旋風を巻き起こしているわけではない。結局のところ、Office 2004でも何も問題はないのだから」と話している。
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