高校野球に脈々と受け継がれる美学、その心は?ITmediaエンタープライズ Weekly Access Top10

高校野球は美しい。そのポイントは「ビジョンとミッションの絶妙なバランス」。人が物事に取り組む姿勢を見直させてくれる。

» 2007年08月11日 07時00分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 今週の1位は「800万人がハマッているわけではない!」だった。IT系の媒体では過熱気味とも言えるほどの盛況ぶりを示す「Second Life」関連の話題、そのユーザーの実態に迫った記事だ。数字は疑えということだろうか。マスメディアの報道に対する読者の教訓とも取れる。

 気づけば8月、夏真っ盛り。「お盆休みに入った」という声もちらほらと聞こえてくる中、皆さまも夏をおう歌していることだろう。記者の場合、高校野球が始まるのを見るにつけ、夏の到来を実感する。就職して上京するまで関西在住だったこともあり、甲子園という場所に特別な思いを馳せてしまう。甲子園はさまざまな物語を生み出す場所だが、特に高校野球というドラマには心奪われてしまう。それはなぜなのか。

 人が物事に取り組むときの姿勢は2つのパターンに大別できる。1つは先の目標や夢を掲げ、1つ1つの仕事を目標とつなげてとらえるもの。この場合、明確な目標があるため、軸足がぶれることはない。もう1つは目の前の仕事にすべてをかけて真摯に取り組むことで、最終的な目標につなげていく。動きながら考えるため留まることはない。前者をビジョンオリエンテッド、後者をミッションオリエンテッドと呼ぶことにする。この考えは記者が学生時代に出会った師匠からたたき込まれたものでもある。

 話を戻そう。日々練習を重ねる高校球児、その目線の先には「甲子園制覇」という確固たる目標がある。それをチームで分かち合い、一丸となる。高校野球という舞台にはビジョンとミッションが絶妙にミックスされたエネルギーが集まり、これでもかとぶつかり合う。欺瞞や打算のない真剣勝負だからこそ、美しさがあり、人の心を惹きつけるドラマが生まれるのだ。

 揺るぎないビジョンは簡単に持てるものではない。そして、その足がかりを見つけることさえ難しい。売り手市場の就職活動で「やりたいことが分からない」症候群に陥る学生は多く存在するし、会社に入っても「これでいいのだろうか」と不安を抱え日々を過ごす社会人も少なくない。通勤電車内を埋め尽くす転職関連の広告は、こうした世情を実によく反映している(関連記事参照)

 それならば、日々の成長を少しでも感じ続けながら、後先考えずに仕事に打ち込むことも時には必要になるのではないだろうか。愚直といえるほどの姿勢で仕事に臨むものは、他者の目には輝いて映るし、何よりその人自身がそういう自分を好きになれる。ミッションオリエンテッドということに自覚的であれば、環境や周りの評価などに流されることもない。そしてこのように自分を駆り立てることで、ビジョンは自ずと生まれてくる。

 第3位の「はみ出た数行を前のページに収めて印刷する」はOfficeシリーズの活用を支援する記事だ。日々新しい技を取り入れることで、Officeの扱いの成長を促すためのものである。これは、先月から始まったフォクすけブートキャンプシリーズも同様だ(関連記事参照)。エンタープライズチャンネルではこれからもミッションオリエンテッドなコンテンツを続々と送り出していきたい。

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