インテル、Xeon MPにクアッドコアを投入

インテルは、マルチプロセッサ(MP)サーバ向けのクアッドコア インテルXeonプロセッサ7300番台を発表した。併せてIntel 7300チップセットとの組み合わせによるCanelandプラットフォームも公開した。

» 2007年09月06日 02時35分 公開
[ITmedia]

 インテルは9月5日、マルチプロセッサ(MP)、つまり4Way以上のサーバ向けプロセッサとなるクアッドコア インテルXeonプロセッサ7300番台を発表した。開発コード名で「Tigerton」と呼ばれていた同製品の登場により、Xeonプロセッサファミリの全製品でNetBurstマイクロアーキテクチャーからCoreマイクロアーキテクチャーへの移行が完了したことになる。

 今回発表されたXeon7300番台は6種類。動作周波数が2.93GHzで熱設計電力(TDP)が130Wのもの、動作周波数とL2キャッシュが異なるTDP80Wのもの、動作周波数1.86GHzでTDP50Wの低消費電力版の3種類に大別される。

製品名 スペック 価格(1000個受注時)
クアッドコア インテルXeonプロセッサ X7350 2.93GHz、1066MHzシステムバス、8MバイトL2キャッシュ、TDP 130W 26万9000円
クアッドコア インテルXeonプロセッサ E7340 2.40GHz、1066MHzシステムバス、8MバイトL2キャッシュ、TDP 80W 23万1000円
クアッドコア インテルXeonプロセッサ E7330 2.40GHz、1066MHzシステムバス、6MバイトL2キャッシュ、TDP 80W 16万3000円
クアッドコア インテルXeonプロセッサ E7320 2.13GHz、1066MHzシステムバス、4MバイトL2キャッシュ、TDP 80W 13万7,000円
クアッドコア インテルXeonプロセッサ E7310 1.60GHz、1066MHzシステムバス、4MバイトL2キャッシュ、TDP 80W 10万円
クアッドコア インテルXeonプロセッサ L7345 1.86GHz、1066MHzシステムバス、8MバイトL2キャッシュ、TDP 50W 26万9000円

 従来のデュアルコアXeon 7100番台と比べて消費電力当たり最大2.25倍のパフォーマンスを実現したXeon7300番台。同じクアッドコアであるXeon5300番台と各種ベンチマークテストで比較しても最大1.92倍(TPC-Cベンチマーク)のパフォーマンスが実現されたという。

 こうしたパフォーマンスはCPUだけによるものではない。今回、Xeon7300番台の投入に伴い、開発コード名で「Clarksboro」と呼ばれていたIntel 7300チップセットとの組み合わせによるCanelandプラットフォームへと移行する。

 Canelandプラットフォームでは、CPUとチップセット間を独立したインターコネクト(Dedicated High Speed Interconnect:DHSI)で結ぶほか、オンチップキャッシュ内のキャッシュラインの状態をルックアップし、必要に応じて読み出し要求をフィルタすることでFSBアドレス/リクエスト帯域幅を効率よく利用するためのスヌープフィルタがチップセット内に64Mバイト存在している。

 そのほか、メモリではFB-DIMM(現時点で最大128Gバイト)をサポートするほか、インテル I/Oアクセラレーション・テクノロジー2のようなI/O高速化技術も取り込まれている。

 仮想化環境への対応については、APICタスク・プログラマブル・レジスタと呼ばれるIntel VTの新しい拡張機能を採用、割り込み処理の改善を図ったことで、Virtual Iron 4.0 Softwareを用いたvConsolidateベンチマークで、Xeon 7100番台と比較して最大1.67倍の仮想化性能が実現された。

 Intelは45nmプロセスで製造されるCPU「Penryn」(開発コード名)以降、新しい命令セット拡張として「SSE4」を実装する予定とされている。ここで、仮想マシンを停止させることなく別のサーバに移動する「ライブマイグレーション」を行うためには、サーバ同士が同じ命令セットである必要がある。そうなると新たにSSE4が実装されたCPUを搭載するサーバは(SSE4を実装しない)Xeon 7300番台などを搭載するサーバとは別のリソースプールとして考えなければならない。

 この点を解消するためにIntelでは、Penryn以降、Intel VT FlexMigrationと呼ばれる機能も実装する予定だ。同機能により、現行のXeon搭載サーバによるリソースプールに、45nmプロセス以降のXeon搭載サーバも問題なく加えることができるという。併せてソケット互換も維持し、現在のXeonに対する投資が無駄になることはないことを強調した。

 同プロセッサを搭載したサーバは、サン、デル、日本IBM、NEC、日本HP、日立、富士通の各社から順次、製品化される予定だが、同日にはさっそくNECがE7340を搭載したブレードシステム「SIGMABLADE」を発表している。また、「インテルS7000FC4URサーバー・プラットフォーム」の提供を受けるチャネルパートナーとしてHPCシステムズ、コンカレントシステムズ、日本コンピューティングシステムの3社が名を連ねており、そのうちHPCシステムズは同日に「HPC7000-XM432R4」を発表した。

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