MS、9月中にも「Windows Server 2008」のRC1をリリース

今回のリリースではWindows Serverの仮想化機能も同時に提供される見込みだ。

» 2007年09月12日 14時16分 公開
[Peter Galli,eWEEK]
eWEEK

 9月11日、VMwareがサンフランシスコで「VMworld」カンファレンスを開催して仮想化分野の注目を集めたが、これに対抗するかのようにMicrosoftも複数の製品発表を相次いで行う予定だ。

 ワシントン州レドモンドに拠点を置くMicrosoftは、9月後半に「Windows Server 2008」の最初のリリース候補版(RC1)を配布する。

 また、9月10日に記者会見をした同社のSystem Centerマーケティング担当ゼネラルマネージャー、ラリー・オレクリン氏によれば、「Viridian」のコードネームで呼ばれる「Windows Server Virtualization」のコミュニティ技術プレビュー版もこれと同時に発表されるという。

 さらに同社は、パートナーのCitrix SystemsがMicrosoftのVHD(Virtual Hard Disk)イメージフォーマットを、仮想オペレーティングシステムおよびアプリケーション向けの共通ランタイム環境として標準化する取り組みに協力し、両社のユーザーが仮想化ソリューションを簡単に実装できるようにした経緯を明らかにする意向だ。

 このほか、Microsoftの「SoftGrid Application Virtualization」ソリューションの新たなインストーラユーティリティも発表される。同ソリューションは、インストール済みアプリケーションの物理的な管理体系と、仮想化アプリケーションの枠組みを橋渡しするものとなる。

 Microsoftは、Windows Server 2008および「SQL Server 2008」「Visual Studio 2008」の3製品を、2008年2月27日にまとめて発表するつもりでいるが、同社の幹部は最近になって、当初は2007年末に予定されていたWindows Server 2008の製造工程向けリリースが2008年初頭にずれ込むことを認めている(関連記事)。なお、来年2月の3製品同時発表は、Microsoftにとって史上最大規模のリリースになる。

 Microsoftは以前から、Windows Server 2008リリースの180日後に、同社のhypervisor技術であるViridianを出荷すると述べていたので、今回の計画延期はのちのちにまで影響を及ぼす可能性がある。The 451 Groupのアナリストであるジョン・アボット氏は、こうした諸々の事情により、仮想化技術の核とも言えるViridianのリリースは、2008年末もしくは下手をすると2009年になるかもしれないと予測した。

 だがオレクリン氏は、MicrosoftはWindows Server 2008を2月27日にリリースし、そこから180日以内にWindows Server Virtualizationを出荷することに自信を持っていると述べ、アボット氏の説を一蹴した。

 それでも、Windows Server Virtualizationのリリースが遅れることで、カリフォルニア州パロアルトのVMwareには、仮想化分野で「すでに手中に収めている確固たる優位性をさらに伸ばす」余裕が生まれると、アボット氏は指摘している。

 同氏はまた、Microsoftが同hypervisorをエンタープライズ分野に浸透させていくのは容易ではないだろうと話し、「彼らが考えているより、ずっと難しいことのはずだ」と述べた。したがってMicrosoftは、Citrixとのパートナーシップをさらに強化せざるをえなくなるだろうという。Citrixは先頃、オープンソース仮想化技術ベンダーのXenSourceを買収している。

 前述のように、MicrosoftのVHDイメージフォーマットを、仮想化OSおよびアプリケーション向け共通ランタイム環境として標準化するのにCitrixが協力するなど、両社は以前から提携関係の拡大を図ってきた。

 そうした取り組みの結果、Citrixの「Presentation Server」「Desktop Server」および仮想アプライアンスソリューションの今後のバージョンでは、MicrosoftのVHDフォーマットが採用されることになり、一方のMicrosoftも、同デスクトップ製品および「Terminal Services」用のSoftGrid Application Virtualizationの将来のバージョンを、VHDフォーマットに対応させる予定だと、Citrixの仮想システムグループ担当副社長のデビッド・ローゼイン氏はeWEEKに語った。

 「OSとアプリケーションの双方において、共通の仮想化フォーマットを標準規格化することにより、MicrosoftおよびCitrixの顧客は、われわれの技術を利用した集中管理が可能な、相互運用性の高いソリューションを導入できるようになる」(ローゼイン氏)

 これまでMicrosoftが発表してきた競合規格は、一般的にはオープンではないと受け取られている点についてローゼイン氏に尋ねたところ、Microsoftは市場をなるべく広範囲に開放する目的で標準規格を開発しており、それを中心としたエコシステムの育成も考慮しているとの答えが返ってきた。

 「Microsoftは、人々に選択肢を与えたいと考えており、今回の取り組みでは実際にそうしている。Citrixも、選択肢を充実させ、メインストリームになりつつある仮想化の爆発的な普及に備えた基礎固めに協力している。われわれが次に狙う数十億ドル規模のビッグビジネスは、デスクトップの仮想化だ。今現在、同技術の完成を目指して積極的に動いている」(ローゼイン氏)

 VHDを仮想マシン用ランタイムフォーマットとして初期サポートしているXenSourceの買収は、サーバおよびデスクトップ仮想化の両方に関するCitrixの技術力を向上させるだろうと、ローゼイン氏は話した。

 MicrosoftおよびCitrixは、最新の仮想化技術や仮想インフラストラクチャ管理ツールの開発でも力を合わせ、高い互換性とシンプルな管理性をエンドユーザーに約束していくつもりだという。

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