「顧客のアイデアがアプリケーションを作る」Dreamforce 07 Report(1/2 ページ)

「Dreamforce 07」基調講演後半では、コンテンツとアイデア両面で強化される次期Winter '08のフィーチャーについて語られた。

» 2007年09月19日 18時10分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

 Salesforce.comの年次カンファレンス「Dreamforce 07」のオープニングキーノートセッション後半では、従来から提供しているCRM関連のアプリケーションについて、改めて解説が行われた。

 同社が実際にユーザーの声を聞いてみると、顧客はSalesforce.comの新しい機能にどんなものがあるのかを意外に知らないことに気づかされたという。これは、CEOのマーク・ベニオフ氏にとってショックな出来事だった。この状況を改善すべく、従来からの中核であるCRMのソフトウェアサービスについては、順を追って詳細な説明がなされた。

機能実装の優先順位はユーザーの声で決まる

 後半のセッションを解説を行ったのは、CMO(Chief Marketing Officer)のジョージ・フー氏だ。同氏によれば、ここ1年間に行った3回のバージョンアップにより、多くのことが達成できたという。ポップアップリマインダーやワークフロー機能は、顧客の要望から追加された機能であり、もちろんApexコードによるプラットフォーム化はもっとも大きな出来事であるという。

画像 新機能を説明するジョージ・フーCMO

 「昨年から提供を開始したidea exchangeの成果が大きい。すでに5000を超えるアイデアが寄せられており、1人で50ものアイデアを提供してくれた人もいる」(フー氏)

 Salesforce.comのアプリケーションは、こういったユーザーからのアイデアを参考に、さまざまな機能を追加することで利便性の向上に努めている。今回、SFA(営業支援)アプリケーションに追加された機能で、もっとも要望の大きかったものとして紹介されたのが、インラインでの編集機能。

 通常Webブラウザ上で表示されている情報を変更しようとした場合には、表示されているテキストに対応する何らかのダイアログボックスや、簡易なテキストエディタなどを開き、その上で編集してセーブするという作業が必要になる。だがこれでは、マウスによる複数回のクリックを経ないと、内容を書き換えることはできない。

 次期リリースのWinter '08では、これを別のウィンドウなどを開かずにインラインで編集でき、あとはマウスのワンクリックだけで情報を更新できる機能を追加した。この機能のデモンストレーションをフー氏が行った際、会場から自然と拍手が巻き起こり、これがいかにユーザーに待ち望まれていた機能であるかがうかがえた。

 これ以外にも細かいところでは、扱える通貨の種類や新言語(ロシア語、タイ語)の追加など、グローバルでの利用を前提にした改良も行われている。また、カスタムのヘルプ情報の自動表示機能や、SOX法などで必要となる監査に対応する機能強化がなされるという。さらに、分析の機能も強化される。

 マーケティングアプリケーションでは、キャンペーン・ヒエラルキー、キャンペーン・シェアリング機能、そして新たに16のキャンペーンリポートが追加されるなど、キャンペーン管理の機能が大幅に強化される。さらにパーソナライズ機能を持ったポータルなども追加され、これらによりリアルタイムな顧客の360度ビューが実現できるという。追加される機能については、idea exchangeからのユーザーの要望が反映され、実装の優先順位が決められている。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ