採用ツールで採用後も管理してしまう!有能社員をとらえよ、手放すな! デキる逸材の「獲得術」(1/2 ページ)

採用活動におけるITの「出番」は、採用プロセスの効率化だけではない。採用後のフォローも引き続き「担当」するという。そして、それ以上にも……。

» 2007年09月21日 06時00分 公開
[岡崎勝己,アイティセレクト]

 ソフトブレーンは新卒採用業務の効率を高めるために、「e採用マネージャー」を活用する(9月18日の記事参照)だけでなく、採用活動自体の見直しも併せて進めてきた。その基本となる考え方は、マネージメント・アドバイザーの宋文洲氏(元会長)が常々口にする、「採用も営業と(進め方は)同じ」というもの。ソフトブレーン・インテグレーションで採用プロセスマネジメント事業推進のプロダクトマネージャーを務める若杉健太氏は、その心を「(自社や商品の)魅力を偽ることなく正しく伝え、双方(=学生と会社)納得の下で、できる限り短期間の間に(雇用)契約を結ぶことが一番重要ということ」と説明する。採用プロセスにおける情報共有ツールとして「eセールスマネージャー」に着目したのも、そのプロセスの管理を通じて、優秀な人材を見極め、入社意欲が削がれる前にいち早く内定を出すためだ。

それでも生じるミスマッチを防ぐには

 だが、現実には“見栄えのいい”採用ツールを利用し、「やりがいがある」「社会に役立つ」といった抽象的なメッセージで人材を募集して、いわばふるいにかけて採用する手法が用いられることが少なくない。その結果、「応募者の志望動機と業務のミスマッチ」が頻繁に生じているという。

 「新卒採用では長らく、ふるいにかける手法が広く用いられてきた。雇用環境が大きく変わる今は、従来型の手法を見直す時期に差し掛かっている。ミスマッチが生じた場合には、早期退職となってしまう可能性は高い。加えて、そうした事例はインターネットなどで中傷される題材となりかねない」(若杉氏)

 そんなミスマッチの発生を防止するために不可欠な要素として若杉氏が指摘するのが、学生と会社との間における密なコミュニケーションだ。その実践には、「具体的なメッセージを学生に投げかけるなど、採用活動を通じて業務内容などを裏表なく説明することが重要」(若杉氏)になる。

 「売り手市場」となった今、大手企業では採用予定数の倍の数の内定を出していると見られている。従って、複数の内定を手に入れている学生も少なくない。そうした中で内定辞退者を出さないためにも、企業の魅力を正しく伝えることは欠かすことができない。

ツール活用の成果は上々

 「e採用マネージャー」では、そうした面への配慮も払っている。その一つが、面接官あるいは人事部門が学生に聞くべき情報を、画面の切り替えだけで確認できること。これにより、会社の「悪い面」も含めて、学生に伝えるべき情報をきちんと伝達できているかどうかを確認し、対応に当たることが可能になる。また、これまでの面接の履歴などから他社への関心度を推し量り、内定後のフォロー活動を高度化させることができる。

 優秀な人材を採用するためには、「面接官の目」も厳しく問われる。人材の資質を見抜けなかったために、優秀な人材を見逃している可能性があるからだ。そこで、ソフトブレーングループでは人材診断システム「CUBIC Psychological System」を積極的に利用している。外部に対しては、「e採用マネージャー」と組み合わせて提案も行っている。

 「人材に対する印象は、面接官ごとに異なることが多い。そうしたブレを補うためには、『CUBIC』のようなツールは欠かすことができない」(若杉氏)

 「e採用マネージャー」を使うようになってから、ソフトブレーングループでは採用活動にまつわるさまざまな課題を解決している。情報が一元化され、担当の引き継ぎが楽になったほか、情報共有も徹底でき、採用活動の進ちょく管理が容易になったという。

 グループ外で同ツールを採用する企業も着実に増えている。ある企業では同ツールの利用を機に、内定辞退率を70%から40%にまで引き下げることに成功しているという。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2011 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ