IBM、カーボンナノチューブの電荷測定技術を開発

カーボンナノチューブ・トランジスタの安定した製造に必要な計測技術を発表した。

» 2007年10月16日 10時08分 公開
[ITmedia]

 米IBMは10月15日、次世代半導体素材として期待がかかる、カーボンナノチューブの電荷を測定する技術を開発したと発表した。同社は直径2ナノメートル(nm)以下のチューブの電荷測定に成功したという。

 優れた性能を持つカーボンナノチューブ・トランジスタは現在すでに登場してきているが、最大の課題は同質のものを繰り返し製造できるようにすること。カーボンナノチューブは環境に非常に左右されやすく、その特性は異質な物質によって変化し、電流の流れや、完成品の性能を変えてしまうことがあるという。

 より性能の安定したトランジスタを生成するには、カーボンナノチューブの電荷に環境がどのような影響を与えるかを正確に理解する必要がある。つまり、ナノチューブにおける電子密度(電荷密度)の計測が重要となる。

 IBMは、電子とフォノンとの相互作用に注目した。フォノンは物質の内部で発生する原子振動であり、物質の温度と導電率はフォノンによって決まる。電子とフォノンの相互作用により、熱が発生し、電流が妨げられる。IBMの研究者らは、ナノチューブを通過して散乱する光の色を観測し、ナノチューブの電子密度の変化に対応して変わるわずかな光の色を測定した。この観測技術は、原子の動きと電子の動きの相互作用、つまり電子密度が変化すると、ナノチューブ原子の振動運動に変化が現れる原理を利用したものだという。

ibm 振動により散乱する光の色からナノスケールの電子デバイスの電荷を測定する

関連キーワード

カーボンナノチューブ | IBM


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ