スケジュール管理の手間を解消?――アウトルックとCRMの連動新境地に挑むマイクロソフト(1/2 ページ)

CRMを運用する上でネックだったのは、既に導入されているグループウェアとのすみ分けだった。営業マンが運用する上で、一番の課題となるのはスケジューラだという。

» 2007年10月18日 07時00分 公開
[梅田正隆(ロビンソン),アイティセレクト]

 過去のSFAはなぜうまく機能しなかったのか。マイクロソフトのビジネスソリューション事業統括本部 MBS営業本部の横山富氏は、次のように説明する。

 まず、営業は電子メールを利用する際、送信、返信、転送、同報などの機能を活用する。こうしたものは、すべて送り手が情報の届け先を決めていることから、“送り手主導”のコミュニケーションとなっている。従って、電子メールでは情報が本当に必要としている人に届いていない可能性がある。そのため、CRMのようなシステムで情報を収集・保管し、必要な時に必要な情報を共有・分析できるようにする必要がある。

スケジューラでアウトルックを活用

 ただ、運用する上で一番の課題となるのは「スケジューラだ」と、横山氏は指摘する。スケジューラは営業にとって顧客に対する提案活動の記録となる。グループウェアとCRMのどちらのスケジューラを用いるかは、必ずといっていいほど議論になるという。グループウェアのスケジューラを継続して使用する場合、日々の忙しさに追われ、CRMにも登録してくれるとは考えにくい。

 「結局、面倒がって入力が進まないため、情報は収集されず、共有も進まない。強制的に入力を迫ると余計な業務負荷を与えることになり、悪循環となる」(横山氏)

サービススケジューリングの画面サービススケジューリングの画面 サービススケジューリングの画面

 そこでマイクロソフトは、「Microsoft Dynamics CRM 3.0」(以下、ダイナミクスCRM)と「アウトルック」を一体化させた。ここが操作性向上の大きなポイントとなっている。アウトルックのメールフォルダにCRMのフォルダが統合され、アウトルックのフォルダとしてCRMを使えるのだ。これにより、例えばアウトルックの「取引先」フォルダから顧客情報を共有することが可能になった。従来なら、電子メールを受けてから顧客情報を見る場合、アウトルックとは別にブラウザを立ち上げてCRMにログインし、顧客情報を参照する必要があった。ダイナミクスCRMを使えば、アウトルックから顧客や担当者の情報を確認することができるほか、案件管理も行える。別のツールを立ち上げる手間がないのは、営業支援ツールとして大きなポイントだ。

メールのやり取りは自動的に取り込める

 電子メールでのやり取りを自動的に取り込むことができるのも面白い。例えば取引先フォルダから取引先の一覧を表示し、その中から任意の企業名をダブルクリックすると、担当者名や案件内容といった詳細な情報が表示される。今後の予定や過去の履歴なども参照でき、営業の動きをシェアできる。活動履歴には電子メールの項目があり、顧客とのやり取りが自動保存されるようになっている。

 電子メールを送信する際、ダイナミクスCRMのどこにひも付けるかを任意に指定することも可能だ。指定すると返信や転送などもすべて自動的にCRMに落ちる。一般の電子メールソフトで返信や転送を探すのは手間がかかる。ダイナミクスCRMであれば、各メールに管理番号が付与され、時系列に整理されて保存されるため、管理性も高まることが期待できる。

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